頼まれもの
いつものように頭を叩かれ、どうにか涙がとまったころ、坊主がその顔をのぞきこみ、よし、と離れた。
「これぐらいの乱れなら、どうにかごまかせんだろ」
あ、とシュンカが何かに気づいたように顔をあげるのに、目のあった坊主が眉をよせた。
「おめえの『気』を落ち着かせるためにここに来たのはたしかだが、ここでおれが口にしたのは、これっぽっちも『うそ』じゃねえぞ」
スザクの断言に恥ずかしそうに身を縮めたシュンカは、謝って付け足した。
「すみません・・・なんだか、夢をみているようで・・・」
ぽんぽんと、心地よいスザクの手が頭をなでた。
「―― とりあえず、さっきまでおまえを探してた嫌な『気』の渦も消えたみてえだから、さっさとかえんぞ」
笠をしっかりとかぶるように言いつけるスザクが、シュンカの着物のふくらみをさし、それがテツの買い物か?と聞く。
シュンカは、ようやくその存在を思い出したように懐に手をいれた。
「そうだ。セイテツさまにこれを早く届けなくちゃ。あ、れ?」
懐にいれたのは赤色と青色の包みのはずなのに、そこにあるのは、青い粉の包みだけだった。




