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われにかえる
ぎしぎしときしむ階段を抱えられてゆくシュンカの頭は、ひどく混乱していた。
進む廊下の両側、並んだ扉の奥からは、なにやらさまざまな『声』がもれきこえてくる。
むかし、セリに聞いたのはこれのことだろうかと思っていると、坊主は一つの扉をひらいて入り、部屋の真ん中にあるベッドにシュンカを放った。
「いいか、まだ待ってろ」
坊主が首の数珠を、手にもちかえる。
ベッドの周りを歩き、なにやらつづりながら短くとなえると、めずらしく息をつく。
「 まあ、これでいいだろ。街の中じゃおめえのあの乱れた『気』はあぶなくっていけねえからな」
笠をはずし、ぽん、とたたかれた。
「 あ 」
急激に、頭がはっきりとする。
とたんに、血がのぼって汗がひく。
「すすすすす、すみません!スザクさまから逃げるなんて、お、おれ、」
ぽんぽん、と頭をたたかれた。




