毎朝
―― 5 ――
かつんかつん、と、いつものようにその音が響いてくる。
「っつ!」
スザクが横からまわした棍をすれすれでかわせば、くるりと身をまわした坊主が縦にまわした棍を足元に突き刺した。
「っつわ!」
倒れると思ったのに、引き戻される。
「――― どうしたよ?」
「い、石が、」
石に足とられるなんざ珍しいな、と坊主が足元のそれを蹴る。
「 ―― スザクさまも、おれを倒すまでやらないなんて、珍しいですよ?」
「・・・・ああ、そうか・・・」
つかんだシュンカの二の腕をゆっくりと離し、首をひねって頭をかく。
「 ―― 終えるか」
「はい」
ありがとうございました、と礼をし、シュンカはいつものように汗でぬれた着物を脱ぎながら井戸へむかう。
汚れた着物を洗い場の桶に入れ、下着だけになると、汲んだ水を頭からかぶった。
自分はこのあと朝飯の支度もあるのだ。
スザクに着物を届け、朝のおつとめもいっしょにして、と、仕事を考える頭を振って水をとばす。
気づけば、いつもあとからゆっくりと来るスザクが、いつのまにか近くに立っている。
「あ、すみません。すぐに終わるので」
お待ちください、というシュンカを眺める坊主が、腕を組みなにやら頭をかたむける。
「・・・シュンカ、おめえ、ずいいぶんでかくなったな」
いきなり『でかく』なったようなその言い草にシュンカは肩をおとす。
「スザクさま・・・このまえセリさまを抜きましたって報告したじゃないですか」
「ああ。・・・そうか・・・そうだったな・・・」




