この おもい
ばちん、とセイテツの中で何かが切れた。
「 ―― おい、スザク、おれはてめえに、シュンカをこども扱いするのを、いいかげんやめろって話をしてんだよ。―― 今日ついた『うそ』のどこがわるい?どれもみな、この子の優しさからでたうそだ。だれも傷ついてねえし、逆におれなど救われた」
「『うそ』に救われるようじゃ、てめえも先がみえたな」
「なんだと!?」
椅子を飛ばし、いきりたつ絵師に、名をよぶシュンカがすがりつく。
「セイテツさま!お、おれのせいです。おれが『うそ』などついたのがいけないんです。スザクさまの『従者』として、恥ずかしいことをしました」
「シュンカ、おまえは黙ってろ」
「だめです。セイテツさま。 ―― おれのせいで、お二人が言い合うようなことになるなんて、耐えられません」
「・・・シュンカ・・・」
怒りが一気にさめ、むこうにすわる坊主に、懐からとり出した砂糖菓子を飛ばした。
――― ※※ ―――
からからと、あかい風車がまわる。
いとしい人が、この風のむこうにいる。
ああ、 この風にのって このおもいが あの人へ・・・
どうか、 いとしい人へ・・・
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