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おとぎばなし ― みつるとき ―  作者: ぽすしち
 Ⅱ

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11/48

しばらくは


「セイテツさま、・・・スザクさまは、どこに行かれたんでしょうか?」


 台所で食事の支度をはじめながら、シュンカはなにげないよう口にする。



「まあ、ヒョウセツのところだろ。きのう、なんだか書物を借りたと言っていたしな」

 読み終えて返しにでも行っているのだろう。


 シュンカの背中が、安堵したように丸くなる。



「―― すぐ帰ってくるよ。ヒョウセツもいっしょかもしれないぞ」


「それなら、ヒョウセツさまのお好きなものにしようかな」

 急に献立が変わったようだ。



 シュンカはシュンカで、こんなに優しくて素直な子だ。『きれい』だというのはその容姿をべつにしても、中身がいちばん美しいとセイテツは思う。

 そんな相手に、あの馬鹿坊主がそういうたぐいの想いをもつなんて、これっぽっちも想像つかない。

 


 ――― 大事だとおもうことができてる時点で、あいつにとっちゃ上出来か

 

 かろやかな包丁の音をききながら、考える。



 こんな、ゆっくりでじれったい想いも、いつかは自分のよく知る、肉欲のからむ想いへとかわってゆくのだろうか。




 ――― ま、しばらく無理だろうな




「あ。スザクさまが戻ってこられたようです」


 気配にいちはやくシュンカが微笑む。

 台所のわきの草花が、ささやくように伸びあがったのは、見慣れた光景だった。





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