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おとぎばなし ― みつるとき ―  作者: ぽすしち
 Ⅱ

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10/48

じれったいので

 絵師は、額をもんだ。


 よく考えれば、この二人の関係は、自分のよく知る色恋ごととは質がちがうのだ。



 シュンカが特別にスザクをおもっているのは、みなが知っている。

 シュンカ自身が、ほかに対するおもいと別にスザクが『大事』だと口にもした。


 だがそれは、まだ十五にもなっていなかった子どもの想いだ。


 あのとき、死にそうだったのが、たとえセイテツや、『テング』のヨクサだったとしても、きっとシュンカは助けただろう。



 ―――― おもいあっては、いる。いるが・・・


 他人の感情にまったく無関心だったスザクが、あそこまで気にし、大事に守ろうとする態度をとるのだから、シュンカを大事におもっているのも、事実だ。



 ―――― だがなあ・・・はっきりしないんだなあ・・・


 たしかに大事にはおもっているのだろうが、それは、あのコウセンが、シュンカのことを、なくしたこどもと同じように愛しくおもうようなものなのかもしれぬ。と、ヒョウセツが前に言ったことがある。


 セリも、愚弟のおもいがどこまでのものなのか、正直、はかれぬ、とサモンにこぼした。


 なにしろ、血のつながりもない人間を、いままで『大事』におもったことなど、ない男なのだ。



 ―――― そこが、おれにはわかんないんだが・・・



 スザクにシュンカのことを好きか嫌いか聞けば、きっと『好き』だとこたえるだろう。

 だがそれは、どこまでの『好き』なのだ?



 ―――― なにか、こう、決定的なのがほしいんだよなあ

 二人の仲に気をもむ絵師はいつも思う。



 姉であり参の宮の大臣のセリは、あれは大馬鹿なのだから気づくまであきらめろ、と言う。

 壱の宮の大臣である恋人のサモンは、そんなセリに微笑んで見せ、見守ろうってことだな、と柔らかい言葉におきかえる。

 弐の宮の大臣ヒョウセツは、シュンカが笑っていられればよいと現状に口を出す気もなく、四の宮の大臣でもあるコウセンは、口を出す気はないが、なにかあれば手を出すぞ、と意味のわかってなさそうな坊主を脅す。

 

 みんなは遠くから見守るこの状況も、同じ伍の宮に暮らすセイテツとしては、実害をくうただ一人であって、シュンカのせつない顔をみてなにげなくなだめたり、自覚のない不機嫌な坊主の相手をするたびに、じれったくなって叫びたくなるのだ。

 


 ――― おまえらいっそのこと、裸で一晩ねてみろ!



 まあ、実際には、絶対にムリだけど



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