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おとぎばなし ― みつるとき ―  作者: ぽすしち
 Ⅰ

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1/48

風車(かざぐるま)

内容がおもいきりBLでのはなしとなっておりますので、ご注意を。


 ―― 1 ――



「  わあ・・・ 」

 思わず声にしてしまったのは、目にも鮮やかな紅いそれが、いっせいにまわりだしたからだ。


「ん?ああ、風車かざぐるまだ。なんだ、シュンカ、ほしいのか?」


 風をうけ軽い音をたて動くそれらを、木枠にたくさん並べた出店に認め、足をむけようとする男を、セイテツさま!とあわてて止める。


 ちがいます、とあせった言葉がこぼれる。

「―― むかし、よく父がつくってくれたものですから・・・」


 口にしてから、しまった、と思ってもおそい。


「 いえ、このようにきれいなかたちではなくて、拾った枯葉をただつなぎ合わせたような不格好なもので・・・」


 もごもごと続けた言い訳のようなそれに、絵師をなりわいともする男が、手をさしのべてきた。


「・・・それなら、買おう。おれには枯葉をあつめても、そんな器用なものはつくれないしさ。―― ひさしぶりに、親父殿の話をきかせてくれよ」

 

 空にかえってしまった父親の話を、この男は無理なく、ゆっくりと聞いてくれる。


 伸べられた手を見つめ、恥ずかしくもそれをにぎり、「はい」とうなずくしかなかった。




 こんなシュンカはもうじき、十七になろうとしている。



 今日、珍しく下界の街に出てきたのは、『絵師』でもあり、『元神官』というこの男に、買い物につきあってくれと言われたからだ。

 

 普段、坊主の『従者』というかたちで下界には来ても、にぎやかな店が立ち並ぶこの『街』には、めったに来ない。坊主である男が、その場所が、好きではない、と言うからだ。


 それでもたまに、街中の商店での『弔い』を引き受ければ、来ることもある。

 だがその時は、前を歩く男を追うのに精いっぱいで、街の様子をこんなにゆっくりとながめることはない。




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