伝承学・・愛
民族学伝承学を学ぶ東雲雫と転生者、朝比奈輝の時を超えたラブロマンス?なのかな?
雫を守ろうとする燿。の物語です。
少しだけ、季節に合わせて伝承学とかあります。
「・・・・燿?どうかしたの?ぼーっとしちゃって」
「・・・・」
「燿ってば!!」
なんだか上の空の 燿が気になって声を かけた。
返事がない。
燿の目の前で 両手を合わせて叩く。
パチン!!
すると、
「おい、なにすんだよ、びっくりするじゃんかよ」
驚いた顔の燿が、云う。
「だって、何度も呼んだんだよ~。それなのにぼーっとしてるんだもん」
「それにしたって、、」
「燿ってば、時々そんなになるよね~心ここにあらずって」
「うーん、確かにそうかも?・・」
頭を少し斜めに傾けて 右頬を 指で描く。
照れた時や焦った時に やる燿の癖だ。
中学校の修学旅行に訪れた。京都の広隆寺だったかな、、。
全然、似てないんだけど・・雰囲気?仏像に似てるなんて、男の子にそんなこと言えないけどさ。
もともと、仏像とかそういうのあんまり興味なかったんだけど、どうしてかそれだけは、記憶にあるんだよね。
半跏の志位像
恋する仏像とか、泣き弥勒とかだっけ・・
その仏像を 初めて見たときに 一瞬周りの時が止まったような?その仏像と自分だけの世界の中にとらわれたような気がした。
(よく覚えてないんだけど、ほんと記憶力よわ~い)
「で、今日は、どこまでトリップしてたのかな?」
「トリップ云うな~」
「では、トリッパーの燿くん!!今日は何日ですか?」
「それでもいうか、、2023年2月2日、木曜日です。」
「正解!!」
そう答えて二人で笑った。
「さっきの雨音さんのメール、なかなかだよね~」
うんうんとうなずきながら 読み返す雫。
「そうなんだけど、途中から惚気にしか聞こえないってか、、見えなかったけどな。」
「でも、今・現在・・雨が縁で結ばれてるって良くない?旦那さんの名前に『竜』の文字があるのも・・伝承学的には良い感じ。竜は、もともとが雨っていうか、水を司る神様的な存在だからね。」
こう見えて、雫は、大学院の院生だ。民族学・伝承学を学んでいる。
「はいはい、出ました。雫先輩の売り文句ですか・・本当に好きですよね、伝承学」
「当たり前だのクラッカー」
ニコニコしながら雫が答える。
「先輩、それ・・いつの時代の言葉です?死語ですよ・・今時、誰もそんなの知りませんてば」
呆れながら燿が云う。
「伝承学の中には、化学では証明できない事柄の答えがあったりするんだよ。ワトソン君!」
「誰が、ワトソンです?助手じゃないです!?まったく、いつも貴女は。」
優し気な眼差しで 雫を見つめる燿になんだか落ち着かなくて視線をそらした。
「そういえば、明日は節分でしたね。先輩は、豆まきします?」
「節分か~、豆まきはしないよ。節分で豆まきって・・いろいろあってね。」
「そうだ、節分についてのあれこれ教えてあげようか?」
「ところ変わればでね。。いろんな節分があるんだよ」
にこにこ顔で雫が、話始める。
(ああ、これは長そうだ・・話題まちがえたかな)
後悔先にたたず。。。である。
そして、今の時代の雫の話に耳を傾ける燿。
燿は、女神の言葉の中に隠されていたことを後で気付いた。
『・・・・お主の知るあの娘とは、いずれめぐり合う運命となる。だが、それは今ではない。それと、「今の娘の傍でもない」』
そう、女神は、今の娘ではないと確かに言ったのだ。そもそも、今の雫なら60歳に手が届く。
同じ魂ということは、もうこの世にはいないのだろう・・結局、俺は、間に合わなくて、助けることが、出来なかったのか。
だからこそ、今の雫の傍で見守ろうと決めた。
役に立たない雑学でした。




