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燿の中のxx(1)

ここから、3話ほど。

虐めなどのお話がありますので、苦手な方は、読まないでください。

 ここは、どこだ?

 周りは、真っ白な霧に包まれているようだが、霧ではない聞こえる大きな水の音。

 そう例えるなら、滝のような・・・瀑布というのか?

 うっすらと開けた目に映るのは、けぶる様な水の飛沫。大きな瀑布のような・・


 しっかりと目を開いてみると その瀑布を背に 真っ白な石のような物で作られた女神像のようにも見える。

 最初は、大きすぎて解らなかった。それと、とても神々しくて眩しい女神像の左手のひらの中に横たわっている。俺が見える。

 女神でいいのか?よくわからないのでけど。暫く、観察してみることにした。


 多分・・分類は、仏像だろう

 頭になんかつけてるし。。背中に輝くわっかみたいなのあるし、でも、目は瞑ってるな

 左手に俺はのせられている。

 右手は、今にも頬をぽりぽりと描きそうな・・感じ。


 幽体離脱?俺は、思案した。

 一体、どうして?

 さっきまで仲間と釣りをしていたはずだった。


 梅雨のさ中のその時季は、川の水も増水するし、長雨の影響で足場にする岩もすべりやすくなるから危険が増す。雨降りの後の川は、増水して水量も多く濁っているので遊びに行ってはいけないと

大人達からも注意されていた。

 いつもの俺なら、こんな所に近づかない、友人に誘われて、断ったのだけど。


 「大丈夫、大丈夫」

 「なんだよ、腰抜け。。怖いんだ~」

 「弱虫~毛虫~」

 「恥ずかしい奴~、ああ、xxは女の子だったっけ~」

 「それなら仕方ないよね~」


 でも・・俺は、大好きな雫の前で からかわれて、意地になってしまった。

「その位、何でもないよ。行けば良いんだろう」

「xx、ダメだよ。危ないから近づいちゃダメって言われてるでしょ・・」


 雫が、俺の袖を 引っ張って止めようとする。

「平気だよ。雫、帰ってきたら一緒に勉強しよう!」

「xx、本当に大丈夫?」

 心配そうに雫が、僕の顔を見た。大きな黒い目が、涙目になり 今にも泣きだしそうだ。

 雫の頭に手をのせて、なでる。

「xx・・・」

 雫は、頭を撫でられるのが、大好きで。まるでネコか、子犬のように見つめてくる。

 撫でる感触も悪くない。雫の髪の毛はサラサラ。俺だけの特権。


 雫の家は、少しだけ複雑?で幼稚園にも通わせてもらえなかった。

 理由は、婆さんがいても小さな弟の面倒を 見ないから雫が下の子の世話をしてる。

 雫は、大変でも大変とか言わないし、寂しいとか辛いとか泣き言なんて全然意を無い。

 まだ、小さいのに人に甘える事が許されない雫は、甘え下手で・・話し相手は、俺くらい。

 学校から帰って、弟の世話をしながら、風呂の準備とかしないといけない。


 だから、俺は、雫に幼稚園で教わったことを教えた。

 地面に 木の枝で文字を書く。書いては、消し・・書いては消し・・。

 二人きりの時間は、いつもそんな感じで、そんな事が、小学校に上がるまで続いた。

 頑張り屋の雫、今では、漢字で自分の名前も書けるってだから俺も負けられないと勉強頑張ったよ。


 家が、近所なのと親同士の付き合いで唯一の友人・・。

「もうさ、このこ達、一緒にさせちゃう?」

「ほんと、仲いいもんね~」

「雫ちゃんならこっちからお願いしたいくらいよ~、家は、男の子ばっかりで」

・・・・今では、両家のおや公認の仲。


 (ああ、あいつが、心配してるだろうな・・・帰らなきゃ。)

 (雫が、泣くから帰らないといけない)

 

 頭では、解ってるはずなのに、だけど俺は指先も動かせない。

 目の前の俺の体に入れない。

 なぜだ。。。焦る。

 何度も試すけど 体に弾かれてしまう。


「雫~、しずく~俺は、雫のところに帰るんだ!雫が呼んでる!」

「雫が、、、泣いてるから・・」

 それでも水音のしかしない静寂の中でなんども 試みたけどダメだった。


 疲れ果てて、あきらめかけた時に

『汝・・・何を願う・・』

 厳かな声が聞こえた思わず、周りを見たけど誰もいない。

『汝・・・何を願う・・』

 女神像の目が開いて俺を見ていた、口は、動いていないけど、、たぶんこの声の主はこの仏像?

 何となくだけど、そう感じた。


『汝の願いは、なんだ?』

「俺の願いは、雫の傍に戻りたい!それだけだ」

『・・・・・・・・』

「雫が泣いてるんだ・・行かなきゃ」

『・・・汝の体は、死してもう戻ることあたわず』

「じゃ、、俺の願いなんて聞くなよ出来ないなら聞くなよ・・・」

 雫の傍に・・ただそれだけなのに。。

 もう、見守ることも出来ないのか・・

 そう思うと動かないはずの俺の体。

 俺の目から、涙がすぅーと一筋伝って落ちた。


『この体に戻ることはできないが、それでもよろしいか?』

「・・・いいです。それでも良いです。だから雫の傍に・・」

『ふむ・・・暫し待たれよ。改めて沙汰するとしよう』

『それまでは、そのものの傍にいることを許そう・・』

俺は、薄れいく意識の中で 雫を呼んだ。

「雫・・雫・・し・・ず・・く・・・・」

そこで、俺の記憶が途切れた。

雫の子供時代ですが、xxの回想です。

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