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まばゆいだけの光

 俺の目がいかれちまったのか? いやいや、強力なスキルだって爺さんは言ってたじゃねぇか。それがこんな光るだけのスキルなんてありえんだろ。何かの間違いだ。


「そうだ、もう一回使ってみるか。ジャッジメントレイ!!」


 さっきよりも気合いを入れて叫ぶ。

 先ほどと同様に俺の右手から放たれた光は激しく発光し、そのまま消えた。目をこすってもう一度見てみたが、確かに光は消えている。


「なんだこれ? 暗い場所を照らす用のスキルか? これのどこが強力なんだよ。しかもすぐに消えちまうから光源としても役に立たねぇよ。あの爺さんランダムでこれは流石にやってるだろ。俺のことを助けてくれたんじゃなかったのかよ」


 あまりの出来事に意気消沈する。こんな訳のわからん雑魚スキルでモンスターが蔓延る世界をどうやって生きていけばいいんだよ。もうこれ詰んでるわ。ハードモードじゃない。バットエンド確定モードだ。ここからの逆転なんてできるはずがない。別のスキルが獲得できるわけでもないだろうし、俺は一生このスキル一つで生きていかなければならない。


 モンスターに襲われないように町の中で仕事を見つけて安全に生きていくしかないんだろうな。そんな人生の何が楽しいんだよ。ほかの奴らはもっとマシなスキルを持ってて、モンスターと戦ったりしてるんだろう? それがなんで神から強力なスキルを授かった俺が町でびくびくしながらおびえて生きていかなくちゃいけないんだ? どう考えてもおかしい。


「まあ、ひとまずは町を目指すしかないな。できるだけモンスターとは出くわさないように向かわなくちゃな。出会ったら速攻ゲームオーバーだ。ここさえ乗り越えれれば町で当分の間は生活できる。はあ、今までゲームしかやって来なかった俺に仕事なんてできるのかよ」


 何もかも俺のアパートで火災を起こしたあほのせいだ。いくら俺が熟睡していたって逃げ遅れた俺が悪いってことにはならないはずだ。一生呪ってやる。俺は死んだってのにそいつは慌てて逃げ出して無事なんだろうな。ちっ、腹が立ってきた。


「せめてこの世界にもゲームがあれば一生俺はゲームだけして生きていけたってのにな。本当何もかも最悪だ」


 ってこんなことばかり考えてても状況は改善しないよな。さっさと町へ向かって自分の危険だけは回避しないと。でも、どこにいけば町に出るんだろうな。あの爺さんもできるだけ町に近いところに転生させてくれてるとは思うんだが……いや、そんな優しさがあるならこんなごみスキルをよこしたりはしないか。悪いほうに予測していたほうが実際に現実になった時にダメージが少なくて済むか。町からそこそこの距離があると仮定して進んでいこうか。


「でもまずはどの方角に向かって進むかだよな。せめて道でも発見できれば二択に絞られるんだが……生憎と今俺が立っている場所は道なんてない茂みだからな。ここモンスター出そうだし、道を探し見るか。流石に未開拓の森ってことはないだろう」


 あの爺さんは同情して俺を転生させてくれると言っていたんだ。転生した直後に死んでしまうような場所ではないことを祈ろう。場所までランダムだったらどうしようもないけどな。最悪のケースまで想定するのは流石にやりすぎだろう。


 茂みの中をしばらく歩いていると、ようやく整備されてた道へ出てきた。


「やっと道があった。どんだけ歩いたと思ってるんだよ。体力には自信ないんだぞ。でもこれで町を目指せるな」


 既に一時間程度歩き回っている俺の足腰はかなり限界に近づいているが、ここで歩みを止めるわけにはいかない。運よくモンスターには出くわさなかったが今度も続くとは考えづらい。迅速に町を目指して移動するのが当然の判断だ。


「誰か歩いてないかな。そしたら道を聞けるのに。でも知らない人と話すのは怖いな。学校でもっと人と話してればよかった」


 ゲームでもずっとソロだった俺は、人との会話というものが苦手なのだ。ボイスチャットすら使ったことはない。たまに勢いでしゃべりそうになる時もあったが、行動までは至らなかった。単純に勇気が出なかっただけだがな。


 人が通りかかるまで待つわけにもいかないので、俺は適当に進む方向を決め歩き出す。

 なんの根拠もないただの勘だが、これが当たっていることを願う。どっちも町にはつながっていると思うが、問題なのは町までの距離なのだ。もし仮に片方が徒歩二時間、もう片方は十分で着くとしよう。そうすると、ここでの選択が俺の命運を左右することになる。とてもじゃないが今の俺に二時間歩くことはできない。しかし、十分なら俺でも歩ききることができる。まあ、これは適当に俺が仮定しているだけだから実際はどっちも徒歩何日もかかる可能性はあるんだけどな……やめよう。そんなことになったら目も当てられない。どっちもすぐに町へ着くはずだ。






 森が、森があそこで終わってる。これでやっとモンスターの危険におびえながら歩くのは終わりだ。


 道を歩き続けること数十分だろうか、やっとのことで最初の森から抜けることに成功した。こっちの道が正しかったのかはわからないが、これくらいの距離ならまだ許容範囲内だな。


「よっしゃ、これで視界は開けたぞ。どこかに町はないか?」


 今までは木ばっかりだった視界も、遠くのほうまで見渡せるほどに開けている。


 運がいいことに、少し進んだところに壁があるのが見えた。

 あれは、モンスターから町を守るためにたてた外壁だ。きっとそうだ。これであの町にさえ着けば俺の安全は保証されるはずだ。あともう少しの辛抱だ。体力の限界だが、行くしかない!!

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