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いこうか

「まずは最初に説明しておくことじゃが、もちろん少年の大好きなゲームはあっちの世界には存在せぬぞ。文明レベルがそこまで達しておらんからな。そこは我慢するのじゃ」


「嘘だろ。予想はしていたが、直接宣告されると来るものがあるな。ちょっとさっきの決心が揺らぎそうだ」


 異世界って聞いた時点でゲームなんてものはないと思っていたが、まさか本当にないとはな。もう俺はこのまま死んでしまってもいいんじゃないか? いやいや、まだ諦めるのは早いだろ。一生ゲームができないって決まったわけじゃないんだ。俺がとんでもなく長生きして文明レベルが日本に追いつけばいつかはゲームだってできるはずだ。


「まあ、ほかにも楽しいことはたくさんあるじゃろ。次の人生ではゲームに変わる趣味を探して生きていくのじゃ」


「ゲームの代わりなんてあるわけない!! 適当なこと言ってんじゃねぇ!! 俺がどんな思いでこれまでゲームをしてきたと思ってんだ。何よりもゲームを優先してきたんだぞ。学校で友達と遊ぶ時間もすべて削って家でゲーム、本当は輝かしい学校生活があったのにも関わらず家でゲーム、睡眠時間を削ってゲーム。俺の人生においてゲームというものは切っても切れない関係性なんだ。ふざけんなよ!!」


「おお、怖いのう。少年がそこまでの熱量を捧げていたとは思わんかったんじゃ、許してくれ。残念じゃが、わしがどう頑張ったところで元の世界へは戻してやることはできぬ。そこだけはわかってほしい」


 こんなことなら部屋に火災報知器を100個くらいつけておくべきだった。いまさら後悔しても後の祭りだとわかっているがどうしても考えてしまう。思い返せば、あの時ああすればって、後悔ばかりの人生だったな。人生をリセットできるいい機会だと前向きに考えよう。ここでいつまでもグズグズ言ってたってしょうがないもんな。


「取り乱して悪かったよ。説明を続けてくれ」


「うむ、わしはさっき言った通り少年が暮らしていた世界の神じゃ。わしは少年のあまりに可愛そうな死に方に同情してじゃな。今回の転生へと思い至ったわけじゃ。ここまではいいかの?」


 これが、もう少しマシな死に方だったら俺の人生はそこで終わっていたわけか。不幸中の幸いとはこのことだな。まったく嬉しくはないが。死なないほうが断然いいに決まってる。


「大丈夫だ。そこまでは理解した。続きを頼む」


「まず少年がこれから転生する世界の話じゃが……モンスターと呼ばれるものが蔓延っている非常に危険な世界なのじゃ。わしもこんな危険な世界へ送り出すのは心ぐるしいのじゃが、候補がこの世界と文明レベルが原始時代の世界しかなくての。少年ならこっちを選ぶじゃろうと思っての、こちらにしておる」


 危険と文明の低さとどちらを我慢するかって話か。確かに、原始人みたいな暮らしをするなんてことは考えられない。モンスターという危険がある世界でも幾分かはマシだろう。


「俺はそっちの世界で構わないが、ゲームしかしてこなかったもやしだぞ俺は。モンスターと出くわしたら即死なんだが……」


「そこはもちろんわしのほうで対策を考えておるぞ。少年にはわしから特別にスキルと呼ばれる力を授けよう。これから転生する世界ではすべての人間が何らかのスキルを持つ世界なのじゃ。しかし、少年は違う世界からの言わば異世界人じゃ。スキルなんてものは持っておらん。そこで、わしが強力なスキルを授けるという話じゃ」


 そのスキルでモンスターという危険から自分の身を守れってわけか。なんだがサバイバルゲームみたいだ。難易度以前に自分の命をかけてするゲームなんてクソゲーだろ。でもそれでも俺なら、ゲームでなら無敵だ。そうだ!! ゲームだと思い込んでれば俺も真の力を発揮できるはずだ。自己暗示していこうじゃないか。


「そのスキルっていうのは俺が自由に選んでも構わないのか?」


「そうしてやりたいところなのじゃがな、わしが授けるスキルは完全にランダムじゃ。詳しいことは説明してもわからんじゃろうから説明は省くが、一定以上の強力なものからランダムに選ばれたスキルを獲得できるという仕組みじゃ」


 選べないのはちょっと不安だな。ここでしょうもないスキルを引いた日にはこれから新たな人生を歩もうっていうのにいきなりお先真っ暗だ。でもさすがに神様が一定以上の強さって言ってるくらいだしそんな雑魚スキルは入ってないだろうか。

 すべては俺の運にかかっている。ここが、ターニングポイントだ。絶対に押さえて置かなればならないぞ。


「スキルは世界についてからのお楽しみとでも思っとってくれ。それと、もちろん言葉と文字などはまったく異なっておるが問題なく読み書きできるようにしておるから安心するのじゃ」


「それはありがたいな。誰が何をしゃべっているのかわからないんじゃどうしようもないもんな」


「それじゃあ、質問がなければ転生に入るがよいかの?」


 質問か。ここでしっかりいろいろ聞いておいたほうがいいのはわかっているが、あえてハードモードで行くってのもゲームの醍醐味だよな。


「大丈夫だ。俺を転生させてくれ」


「うむ、では行くぞ。新たな世界へゴォォン!!」


 神様の叫び声と共に、俺の視界はブラックアウトした。

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