剣
何も無い空間に突如として剣が現れた。
「急に…剣が現れた…」
「これは私の特質の"異空保管"だ」
「特質…?異空保管…?」
「特質は色とは別にある、個人の生まれ持った技みたいなものだ。ユウトにも特質はあるだろうが判別する方法はないんだ、戦闘中に急に発動することがあれば、何気ない日常生活で発動することもある」
ゲームでいう能力に近いものか?
「そして私の特質はさっきも言ったが"異空保管"。異空保管は物であれば時空の狭間と呼ばれる所になんでも保管することができる。戦闘には向いてないが、長期の旅などにはもってこいの特質だよ」
「その異空保管にしまっていた剣を今出したと」
「そういうことだ。なんでも保管できるが一応大事な物しか保管しなあと決めている」
「つまり?この剣は…」
ビオラがニヤリと笑った。それを見た悠人はゴクと唾を飲む。
「この国の聖剣だよ」
悠人は震える。
聖剣ってあれだよな…一本何億以上の価値があるみたいな。
「なんでそんな剣を取り出したんですか!」
「そりゃユウト。君にこの剣を使ってほしいからだよ。君は水晶玉に選ばれ、世にも珍しい無色の人間。一般剣士とかに渡すより、君に渡す方が何かあると私は思った。だから渡す」
と言って、ビオラは悠人に剣を差し出す。
それを両手で悠人は受け取った。
「この聖剣の名前は、"聖剣 ディスティニー "。初代剣聖が名付けた剣だ」
聖剣 ディスティニー。持ち手の部分は灰色で、切る部分は薄い赤で光沢がある。
「ディスティニー…運命…か。本当にこんな大事な剣を僕に渡して大丈夫なんですか…?」
「大丈夫だ。この剣の所有権は私にある。私がいいと決めたから大丈夫だ」
「わかりました。この剣で必ず勝ちます」
剣を強く握り締め、固く誓った。
「ユウト。用は済んだ、メイスが外で待っている。ここのドアを出て右に中階段がある。そこを降りたら外に出れるよ」
「はい。行ってきます!」
「いい返事だ。期待してるぞ」
ビオラは悠人に言葉をかけ、背中を押した。
悠人はそれに応えるように外に走り向かった。
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悠人は言われた通り中階段を降りた。
「中階段なのに、外に繋がってるのか?」
言った矢先にベランダのようなところに出た。
「あれ行き止まり。まだ2階だよな?間違えた?」
「おーい!ワカミズ君!こっち!」
メイスが呼ぶ声が聞こえる。
「下か!道間違えたみたいです!今行きます!」
引き返そうとする。
「いやあってるよ!ここ!ここに飛んで!」
「…え?」
「そこから!ここに!飛ぶ!ジャンプだよ!」
「無理です。無理です。怪我します」
「できるよ!僕を信じて!」
いやいやいや。無理でしょ…2階とは言え、学校とか家とかの2階じゃないよ。4階ぐらいの高さあるよ。怪我するよ。最悪死ぬでしょ。
「僕を信じて!」
葛藤する。剣聖って名前があるから凄さはわかるけど、信じていい保証はない。
「いや、この人に勝つって宣言したんだ。僕が信じないでどうする。この人の言葉を、自分の言葉を…!飛びます!」
メイスに叫び高く飛び上がる。
「"アイス ロック"」
メイスがそう唱えると、ユウトが飛んだところから下に続く滑り台のような氷の道が生まれた。
「な!なんだ!これ!」
「信じて!って言ったでしょ!」
ニコッと笑う。
「これは…?」
「僕の色の話は?」
「聞いてます」
「これはね、僕の色の具現化。僕は白色のプロ。なんでもできる」
「信じてって。そういう意味か…」
「今から訓練!始まるよ!まず色を聞かせてもらってもいい?」
「あ、えっと。無色です」
「無色か。運命なのかな!無色は色がない分色が生み出す技の訓練はできないか…となると色が関係ないところで技の訓練するしか無いな」
「関係ないところ…?」