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今日も曇天、明日は雨  作者: 長谷川ゆう
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内向的な私の日常

産まれてから、大人に至る今までずっと人見知りだ。



産まれてからと言うのは、少し大袈裟だが母親によれば、2歳くらいからすでに私の人見知りは、発揮されていた。



下町の幼児教室のような小さな、教室でも私は、和気あいあいと手遊びを楽しむ子供の中でも、しれっとした顔で無表情だったらしい。



母親曰く、何を考えているのかが分からない。



あまりに人見知りすぎた私を心配した母親が、保健師さんに相談したほどだ。



しかし、私は幼稚園に上がる頃には友達も少食がゆえに大嫌いなお弁当の時間も出来た。



やれば、出来るものだ、好きな事も嫌いな事も。



好き避けと言う言葉が、流行っているが私は幼稚園児にしてそれをやってのけた行事がある。



お雛様だ。



私の幼稚園では、着物を着た女の子がお内裏様と写真を撮るため、女の子が好きな 男の子を指名して良いルールがあった。



今思うと、幼稚園児にしては、こまっしゃくれたルールで斬新だ。



私の番が来た。正直に言えば、同じ◯◯組に好きな仲良しで、好きな男の子がいた。


女の子達と女性の担任の先生は、私が誰を選ぶのかキラキラした目で見ていた。



たぶん、幼稚園児にしてどこかいつも冷めていた私はそのプレッシャーに耐えられなくなって、言ってしまう。



「副園長先生がいい」

一瞬で、担任の顔がひきつり、クラス中が凍りついたのを、30年近く経過した今でも覚えている。忘れたい。



当時の副園長先生は、30代くらいでみんなに優しく、私の好きな涼しげな目をしていた。好きな男の子もしていたのだが・・・恥ずかしすぎて指名を出来なかった。



幼稚園のアルバムのお雛祭りのページには、今でも内向的な小さな織姫様と年の差婚のような彦星様が、他の写真より、一枚浮いてある。



大人になった今でも、仕事などでは異常に人間関係を切り替えられるのだが、私生活ともなると、まごつく。



天気の話からしようか?近所の話をしようか?近くのスーパーの話をしようか?



そんな事をごちゃごちゃ考えているうちに、挨拶だけすまして相手はいつの間にかいなくなっている。



だから、私は女子力が高い誰とでも器用に話せる母親が羨ましかった。何を考えて、話しているの?と聞いた事がある。


「何にも考えてない、目の前の事を話してるだけ」


勝てる気がしない。


すでにいろいろ考えて話しているのだ私は。



最初から挫折しているではないか。



そんな悔しさを、毎日、外交的な人を地味に羨ましいと思いながらも、内向的な自分も嫌いではない事に気がついた。



だって、私は独りの時間が好きなのだ。



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