花火によせて
花火を見ると思い出す話がある。
空襲の時――――
町が真っ赤に染まった夜。
病気で戸外に逃げられなかった母は、幼子を抱きしめて「一緒に死のうな」と言ったという。
戦後――――
母が病気で死に逝く夜。
まだ息があるうちに、痩せ細った指を囓ろうとする鼠を、幼子の姉は必死で追い払ったという。
戦後75年
まだたった75年
恐怖も飢えも知らない私たちは、笑って夜空を見上げる。
なんて幸せなのだろう。
ドンと、花火が弾けて消えた。
花火を見ると思い出す話がある。
空襲の時――――
町が真っ赤に染まった夜。
病気で戸外に逃げられなかった母は、幼子を抱きしめて「一緒に死のうな」と言ったという。
戦後――――
母が病気で死に逝く夜。
まだ息があるうちに、痩せ細った指を囓ろうとする鼠を、幼子の姉は必死で追い払ったという。
戦後75年
まだたった75年
恐怖も飢えも知らない私たちは、笑って夜空を見上げる。
なんて幸せなのだろう。
ドンと、花火が弾けて消えた。
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