科学の終点は、魔法の世界の欄外メモ書き外伝
メロウ・ノスチが、目を覚ました。
「え?ここどこ??」
周りを見ると大型テントの中にいくつもにベットが並んでおり、白衣の人々が患者を治療をしていた。野戦病院の中のようだ。包帯を全身に巻かれて、血だらけのベットに寝ていた。
キョロキョロしていると、看護婦が気がついて驚いた顔している。
「せ、先生!!い、生き返った!!患者さんが生き返った!!」
白衣の男が来て、バイタルをチェックされる。
「全て正常だ....先程、死亡判定したばかりなのだが....」
最後の記憶を思い出した。私の名前は、メロウである。
反政府組織のテルロの依頼を受けて、政府軍と戦っていた腕利き傭兵だったが、中立の野戦病院を政府軍が攻撃する情報を手に入れて、野戦病院の死守の任務中に敵に囲まれて身体中に被弾した記憶で終わっていた。
なんで生きてるんだろう?全身を触ると怪我などどこにもない。
「とにかく、生き返ってよかった。政府軍は、撤収したので安心してくれ」
それは変だ。こちらが100人規模であったが、政府軍は500人規模で、私が倒された時には、仲間は5人も生きていなかった。
「私の他に、生き残った人はいるのか?」
「生き残っていたのは、被弾していた君だけだった。先程死亡してたが...生き返った.......あ、奇妙な点があって、襲って来た政府軍の死体も多数あって、ほとんどが鋭利な刃物で両断されている死体だった。何か見なかったか?」
「いえ、何も見てませんが....」
何かとんでもない事が、起きていると私の感が告げる。
「キャアアァァァ!」
「うあ!!」
テントの外から悲鳴が聞こえる。
声の方向を見ると、血だらけの右手にしなりがある剣を持った女性が、テントに入ってきて、一直線に私に向かってきた。
「気配は、貴方から感じる。ジェスさん?でも年齢がおかしい。ここで産まれるはずなんだけどな?」
身長160cmほどの長髪の金髪で、血だらけの緑の戦闘服を着ている、長髪の女性が聞いてきた。
「ジェス?私は、メロウだが?君は誰だい?」
「私は、ラクア。あれ?おかしいな、記憶がない?」
オギャア!オギャア!
「先生!子供が生まれました!」
背後で、どうやら子供が生まれたようだ。
「ノスチさん、名前は、なんにしますか?」
看護婦が、赤ちゃんを抱いている女性に聞いていた。
「メロウにします。メロウ・ノスチで登録します」
ん?知り合いではないが、同性同名?
「え?ジェスさんは、あっちって事かな?」
目の前の血だらけの女性が、生まれたばかりの赤ちゃんへ移動した。
母親が、警戒している。
「.......私が...間違えたのね....」
納得した顔をして、再び私の前に戻ってくる。
「ジェスさん、お久しぶりです!記憶がないと思いますが、手違いでとんでもない事になってしまいました。すみません」
「え?どう言う事!?」
「修正するんで、戻ります!」
目の前の空間がひび割れて、女性が吸い込まれる。
ひび割れが何事もなく消えて無くなる。
「なんだったんだ?」
周りにいた人達も白昼夢を見たような表情になっている。
だが、床には女性が垂らしたと思われる血の跡と足跡がついていた。
野戦病院が未だに存在しているので、任務は達成って事だな。
安心して極度の疲労感が襲ってきたため、意識を失った。
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不思議な出来事から3日ほど経過した。
あれ以来、政府軍の攻撃が全く無いと言う異常事態になっている。
現在は、その理由と今後の方針で反乱軍の上層部が揉めていると聞いている。
この世界は、私が生まれる頃に一つの国として統一された。
人間では、ミスも多いと言う事で管理システムをコンピュータに少しづつ移行して行った。
私が、12歳の時にそれは発生した。
管理システムが、人間の半分を不要と判断して削除を始めたのだ。
その判断を正しいと言う政府軍と、言わない反乱軍に別れた。
そこから世界規模の内乱が始まった。
初めは管理システムが、12箇所存在していた。
今年で私は24歳になるが、10年間で反乱軍が7箇所を破壊しているので現在は、5箇所残っている。
反乱軍のテントで、いつ出動がかかるかわからない状態で、愛用のライフルとハンドガンを整備していると、背後から声をかけられる。
赤毛の身長180cmの大男が、完全武装でやってきた。
彼は、傭兵部隊のリーダーのゲルマ・ルクスだ。
「メロウ!よく無事だったな。野戦病院は、ほぼ諦めていたのだが、驚いたぞ」
「いや、俺もよくわかっていないんだ。何故か政府軍が撤退したんだ」
「嘘だろう?政府軍は絶対撤退しない筈だ。まぁ、お前以外が、奮闘したんだろう」
政府軍は、全ての兵が死ぬまで撤退しないのが常である。
あの戦闘は、何かがおかしかった。
血だらけの女性を思い出す。
まさか、彼女が全滅させたのだろうか?
「明日、管理システムの一つを破壊する作戦が承認されたぞ」
「敵の規模は?」
「12万の一個師団。こちらは規模の小さい6万の一個師団だ。俺ら傭兵は遊撃で囮になる予定だ」
倍の戦力に戦闘を挑むと思うと、今回も命がけなのを理解した。
「傭兵の数は?」
「1000人程だな」
「管理システムの名前は?」
「......アリスだ...」
最悪だった.....
管理システムは、個別にネームが付いて、アリスは殺戮者で有名だった。
空中に浮かぶ要塞で、見方も巻き込んで全てを虐殺するシステムである。
残りの4箇所は、ブルー、メディル、バクラ、トトヒムである。
「何故残っている管理システムで、一番攻略が難しいシステムを叩く事になったんだ?」
「野戦病院が襲われた件から、管理システムの動きがおかしい事がわかったんだよ」
「おかしい?」
「アリス以外の管理システムが、既に沈黙している」
「は?」
「だから...わかりやすく言うと...アリス以外の管理システムは、何者かによって全て破壊されていた」
「え?」
「ボス!!!」
奥から、傭兵部隊の副リーダーが走って来た。
「なんだ?ゲッティ!」
「アリスが、アリスが......何者かに破壊されている...」
「「はぁ?」」
今日で、政府軍は、全滅した。




