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就職氷河期のララバイ  作者: 塩見義弘
2/15

第一話 私も含めてお似合いな人たち

「あーーーっ、二日酔いでダルいわ。タイムカード押しといてくれ」



 翌日、今日も短時間睡眠で眠い目を擦りつつ、出勤して開店準備を始めていると、店長から電話があった。

 二日酔いで遅刻するので、またタイムカードを打刻しておけというものであった。

 完全な労働時間の誤魔化しなんだが、この前、店長の収入を聞いてしまったからな。

 やる気が出ないのであろう。

 あの年齢でここからも放り出された場合のこととか、そういう可能性についてはまったく考慮していないようだが。


「あれ? 高尾さんは?」


「二日酔いで遅刻です」


「またかよ……あの人は相変わらずだな」


 早朝、不意打ちで事務所に、本社のバイヤーが姿を見せた。

 店長の労働時間の誤魔化しがバレて大変ということもなく、バイヤーの堂本さんは店長を『しょうがない奴だな』と言いながら笑っていた。

 堂本さんも店長と同年代で、やはり前の職場でなにかをやらかしてこの会社で働いているそうだ。

 なにをやらかしたのは、珍しく誰にもわからないそうだが。


「まあいいか。俺も手伝ってやるよ」


「ありがとうございます」


 この店になにか用事があって来たようだが、その前に開店準備を手伝ってくれると言った堂本さん。

 この人は悪い人ではないのだと、私は思っていた。


「この店に新人を送るからさ」


「いきなりですね。そういえばもうそんな時期ですか……」


 今は四月の初旬。

 とはいえ、私はこの会社に新入社員なんて来るとは本気で思っていなかった。

 なにが悲しくて、せっかくの新卒キップをこんなクソみたいな会社で使ってしまうのだというわけだ。

 人生において、これ以上の無駄遣いは存在しない。

 まだ若いのだから、早く他の会社に転職した方がいい。


 こんな会社に入るなんて、私のような半分終わった人間なのだから。


「新入りは、○○大学の出身でな」


「……聞いたことがない大学ですね」


 いわゆる、Fラン大学なのであろうか?


「大学の就職課が営業にきて、これからは毎年、そこの大学から人を取ることが決まったんだ。社長の決定でな」


「そうなんですか」


 よりにもよって、こんな会社にか……。

 一体、何日保つことやら。


「お前に任せたからな」


 そして翌日、その新人がお店にやってきた。

 うちの会社は社長のワンマン経営なので、彼が明日から新人が来ると言えばそうなるのだ。

 いきなり前日にそれを言うか? 

 という批判は、この会社においては社長は絶対なのでしてはしけない。

 する意味もない。

 社長はミスをしない設定なので、社員の即応力を鍛えるための訓練ということになっている。

 そして、またも出会い系サイトの返信メールに打ち込む長文の推敲に忙しい店長は、さも当然のように新人の指導を私に丸投げした。

 いつものことなので、気にしても仕方がない。

 まずは品出しでもさせようかと思ったら、事務所の電話が鳴った。

 急ぎ出ると、なんと相手は社長であった。


「新入りの指導は、高尾君に任せれば大丈夫かな。君も頼むよ」


 頼むよと言われた高尾店長は、今も出会い系でサイトで見繕った女性に打ち込む、女性の気を魅く返信メールの推敲で忙しい。

 彼は落としたい女性のタイプに合わせて長文を書き分けるそうなので、その作業が忙しいようだ。

 その熱心さを仕事に生かし……どうせ給料が上がるわけでもないので意味ないのか。

 まさかそれを社長に言うわけにもいかず、『わかりました』と無難に返事をしてから電話を切った。


「木崎君だっけ? まずは品出しでもしていてね。あとは、レジかな」


 うちは弱小……規模が小さいスーパーなので、いつもはレジを打たなくても、忙しい時にはフォローに入れるようにしなければならない。

 レジ打ちのパートさんもアルバイトも、一部古株を除くとなかなか定着しないからだ。

 あとは、売り上げの締めもある。

 各レジの売り上げと、現金残高との誤差を正社員が確認しなければいけないので、一通りレジを扱えなけれないけないというわけだ。


「レジの操作方法を教えるから、慣れたら実際に会計してみようか。空いている時間があったら、品出しもお願いするかも」


「わかりました」


 ちょうどこの日に限って、いつもレジをしているパートのおばさんが一人病欠になった。

 私も補佐をしながら、新入社員の木崎君にレジを打たせていく。


「新入社員はもう一人いるって聞いたけど」


 どんな人かは、実際に顔を見ていないので知らない。

 他の店舗や本社に赴く機会も少ないからだ。


「彼ですか? もう来ていないですよ」


「そうなの?」


 木崎君によると、もう一人同じ大学から入社した新入社員は、本社での研修を一日受けただけ逃げ出したそうだ。

 

「そうだったんだ」


「驚かないんですね」


「まあね……」


 私だって、このスーパーに入ってからまだ三年と経っていない。

 それでもベテラン扱いだったりするわけで、中途入社の人でも一日で逃げ出すなんてケースはザラなのだ。

 この店で新人を三人入れ、彼らを少し教育してから他の店に送り出す予定だったのだが、一人はお昼休みから戻って来ず、もう一人は翌日にバックレ、最後の一人も一週間が限界だった。


 私は半分麻痺しているのかもしれないが、ここは相当にブラックなのかもしれない。

 とにかく、人を入れてもすぐに辞めてしまう。

 求人広告で募集しようが、ハローワークで募集しようが、なかなか人が残らない。


 そんなことが続くので、古株の社員たちが酒の席でそれをネタに騒ぐことが多かった。

 この労働条件でいつ酒の席なんてと思われるだろうが、これもブラック企業の特徴かもしれない。

 月に一度、本社まで行って会議をしなければならないのだ。

 そんなことは店長に任せればと思わなくもないが、勿論言うまでもなく店長会議もちゃんとある。

 担当社員会議なるものがあって、そこで店長会議と同じようなことをするというわけだ。

 会議をしていれば、仕事をしている風に思えるのであろう。

 これも、ブラック企業あるあるだ。


 実際には、売り上げの報告と、本社役員の愚痴と嫌味を聞かされるだけの、なんの実りもない会議なわけだが。

 昨今は不景気とデフレが深刻で、売り上げが前年比100パーセントを超えるなんてまずあり得ない。

 数字なんてどうやっても弄りようもないので、それを発表すれば『今後、どうやって売り上げを上げるのか?』という質問が飛んでくる。

 店長ならともかく、現場の社員にできることなんて限られており、時間をかけて見栄えのいい特売棚を作る。

 季節に合わせた商品を組み合わせた、客の目に留まりやすい売り場を作るくらいであろう。

 特売商品を増やすのは、それは本社バイヤーの権限だし、それをやりすぎると利益率が落ちてしまうわけで。


 正直な話、小売店なんていい場所にあればそれなりに売れるものだが、大手ならともかく、うちのような弱小スーパーがいい場所に店を構えられるわけがない。

 コンビニもそうだが、そういう『美味しい場所』は、大きいところが押さえてしまっているのだから。


 正直なところ、こんな会議になんの意味があるのだと思ってしまう。

 しかも、会議が終わると半ば強制で飲み会があった。

 普段はなかなか会えない他店舗の社員たちとの懇親が目的というわけだ。

 友達でもない彼らと懇親してなにになるとか思ってしまう私は、もしかしたら人間として色々と問題があるのかもしれないが。


 そういうわけで月に一回顔を合わせているが、どうせプライベートで会う機会もないので、私に友達がが増えたということもなかった。

 会社の同僚たちと友達になってもなと思う。

 建前論で言わせてもらえば、彼らは出世のライバル……この会社で出世してなにになるのだという疑問は、この際気にしないことにしてだ。

 そういえば、彼らよりも仲がいい友人とも、もう一か月以上も会っていないな。

 サラリーマンである彼らとは、なかなか休みが合わないのだ。


 年末年始も、ゴールデンウィークも、お盆休みも。

 零細スーパーの正社員に、人並みの連休なんてないのだから。

 大手なら時期をズラして交替で連休を取るとかあるそうだが、うちにそんな便利な制度は存在しなかった。

 有給だって使えないのだから。

 有給を使うなんて、多くの中小企業では犯罪行為に等しいというわけだ。


「久我の野郎! あいつ、あり得ねえ!」


 安い居酒屋チェーン店で行われた……逆にこのメンツで高級な店に行かれても嫌だけど……出たくもない飲み会に参加すると、そこで大塚さんという若い男性社員が吠えていた。

 彼が怒っている理由。

 それは自分よりも先に店長になった若い男性社員が結婚することになり、その報告で帰省するため三日間休みを取ったことにあった。

 店長が三日も連休を取る。

 しかも、有給を使って。


 この若い正社員氏から見れば、それは犯罪に等しい行為というわけだ。


「そうですよね」


「店長で、三日間は駄目でしょう」


「確かによくない」


 一気に場の空気が、その若い店長氏を糾弾する空気に変化した。

 私は黙ったまま、ウーロンハイを口につける。

 たった三日休んだだけで、それを悪だと糾弾する同年代の若者に、それに追随するやはり同年代の若者たち。

 それにしても、ブラック企業とは恐ろしいものだ。

 別に会社はなにも言っていないというのに、なぜか社員側の方が、しかも若い社員たちがそんなことを口にするのだから。

 彼らは、一体いつの人間なのであろう。


 きっとあれだな。

 一度組織なり会社がそういう雰囲気になると、その雰囲気を維持しようとする者が出てくるのだ。

 聞けば、この大塚さんは、昔かなりグレていたそうだ。 

 喧嘩で高校を中退となり、定時制高校に通いながらこのスーパーでアルバイトを続け、卒業と同時に正社員になった。

 こんな自分を正社員にしてくれた会社には恩があり、その結果、件の若い店長を糾弾しているのだと。

 うちの会社はこんなんでも学歴を優先するところもあり、若い店長が大卒なので入社歴が短いのに店長に抜擢された件で、大塚さんは嫉妬しているという考え方もあった。


 ただ、若い店長が三日間休んだ件に関して、社長が気に入らなかった、という説も否定はできないのだ。

 あえて大塚さんにこの席で怒って見せろと、社長が指示を出していない保証もない

 ブラック企業というものでは、勿論社長以下経営陣が一番厄介なのだが、次に厄介なのはこういう『鬼軍曹』みたいな人かもしれない。


 彼らは今の状況を客観視せず、ただ会社のために、後輩たちに対し今の社風を守るよう強制する。

 そこから外れた者には怒り、それを罪だと言い放つ。

 随分な忠誠心だと思うが、彼がその忠誠心に相応しい待遇を得ているのかと聞かれれば、私は首を横に振ると思う。

 そのうち奴隷が、仲間に対し自分の鎖の方が綺麗だとか、太いとか、材質がいいとか自慢し始めるケースがあると聞くが、それと同じようなものであろう。


「どう思っているんだ?」


 ついに私にそれを聞いてきたか。

 面倒だから答えたくないのに……。


 他の若い社員連中、みんなこの人が元不良だということで怖れている部分もあるので、追随者が多いんだが、さて私はどうしたものか。

 まさかいい年をした大人を怒らせたところで暴力など振るわれないと思いたいな。


「一生に一度のことですし、結婚は双方の家族との関係もあるので仕方がないのでは?」


「ありきたりな言い分だな」


 反論した割には、随分とありきたりな文句で済ませてくれたな。

 ああ、そういえば私は彼よりも一つ年上だった。

 私の方が入社歴は短いのだが、意外にも彼はそういうことを気にする人だったのを思い出した。


「結婚たって、そんなの一年もすれば飽きるだろうが」


 と言いながら、生ビールの大ジョッキを飲み干し、店員さんにお替わりを要求する大塚さん。

 ちなみに彼は未婚だが、そこを突っ込む人はいなかった。

 そういえば、この人も彼女がいながら、店に来ている若妻と不倫をして、旦那が駆け込んできたことがあったと聞いたな。

 どうやって解決したのかは知らないが、別にそれでクビになったという話もないので、どうにか解決したのであろう。


 そんなことをやらかしてもクビにならないうちの会社が凄いのか、それで恩を売って彼をコントロールしている社長が凄いのか。

 ただ、それが売り上げのアップに繋がるかどうかは別の話だな。


 うちの高尾店長と同じだが、男性は多少タガが外れている方がモテるのかもしれない。

 田舎では、ヤンキーがモテると聞いたこともある。

 こういうところにいると、長時間労働で休みも少ないのに、積極的に動いて女性を落とす人と、私のように休みの時には疲れ果てている人の両極端に別れるな。

 

「でも、大塚さん。うちの社長って、若くして結婚して慎ましやかに暮らす人が好きだって聞きますよ」


 別の若い社員が、どこから聞いたのかそんな話を始めた。

 一体いつの時代の話だよと思いつつ、私はこうも邪推している。


 そういう社員は結婚して養うべき家族がいるので、仕事がキツくても我慢する。

 慎ましやかに暮らしているのであれば、給料が安くても文句は出にくいのであろう。

 ある意味、完全に自己中心的な発言ではないかと。

 このところ、すぐに辞めてしまう人の大半が独身者なので、そういう考えに至ったのかもしれない。

 そんなことは関係なく、この会社の労働条件ならすぐに人は辞めていくと思うけど。


「二次会だ!」


「すいません、私は遠いのと、朝が早いので」


「そうだったな。高尾さんも動かないからな」


 近場に住んでいたり店舗がある社員たちが二次会に雪崩れ込もうとしたが、私は店も家も遠いのでと断った。

 文句を言われるかと思ったが、彼はそれを認めてくれた。

 うちの店長の働かないぶりは有名らしい。


「あの人も、もうあとがないってのにな」


「そうなんですか?」


「そりゃあな。ここにはいないけど、もうすぐ富田さんの結婚式と披露宴があるから。あのオヤジももう終わりだろう」


 遂に、出会い系サイトの王者にして、すぐに若い女性パートや社員に手を出す高尾店長に最期の時が訪れるというわけか。


「○○店が閉店だからな」


「大赤字らしいですからね」


「うちの社長、決断早いからよ。あの人もそろそろ年貢の納め時だっての」

 

 うちはワンマン社長によって経営されるスーパーなので、出店と閉店の判断が非常に早い。

 いい場所が見つかればすぐに出店、駄目だと判断すればすぐに閉店となる。

 店舗の増減が短いスパンで行われ、人が足りなければすぐに採り、店が減って人が余ればすぐに切る。

 正直なところ、労働基準法もへったくれもないんだが、これまで無理やり辞めさせられた件で訴えた人はいないみたいだ。


 こんなところにしか入社できない人たちからすれば、下手に会社と揉めると、次の転職先に影響するかもしれないと考えるのであろう。

 いきなりクビになっているのに、失業保険を会社都合で貰えないとは。

 この会社もそうだが、日本という国は終わっているのかもしれないな。


 国や組織、会社は個人に犠牲と負担を押しつけ、我慢することを強要する。  

 それに不満を述べると、村八分にしてしまうか、言い分はわかるが、そこは大人の忍耐でと周囲が忠告という名の圧力をかけてしまう。


 得をするのは、上ばかりか。

 世界基準で見たら日本はまだマシ。

 贅沢言うなと、テレビで言っている政治家と自称知識人たちを見ていると、この国はとてつもない閉塞感にあるのだなと、私は実感してしまう。

 それに我慢できない人たちが多数自殺して、それが碌に報道すらされないのだから。


 自殺を詳細に報道すると後追いの人が出るかららしいが、後追いで自殺してしまう多くの人たちがいるのに、それをお上とマスコミが隠す意図もあるのではと、つい穿った見方をしてしまうのだ。


「あの人、お前がいると余計働かないものな」


 高尾店長の怠け者ぶりは、すでに社長の耳にも届いているわけか。

 ○○店が閉店になれば人が余るので、次にクビを切られるのは高尾店長というわけだな。


「できれば、富田さんの式の前にクビを切りたいだろうからな」


「ですかね……」


 本当にモラルもクソもない話だが、高尾店長は今も本社にいる富田さんの婚約者と浮気をしていた。

 実際、彼女から高尾店長に電話がかかってくるくらいなのだから。

 もしかすると、高尾店長ってテクニシャンなのかね?

 ゲスい想像で、大変に申し訳ないけど。


「富田さん、結婚をやめればいいのに」


「そうもいかないんだよ」


 そこで、うちの社長が出てくるわけだ。

 彼は若くして結婚し、貧しくても慎ましやかに暮らす夫婦が大好きなのは、さっき話したとおりだ。

 社長は富田さん夫婦にそれを求めており、奥さんの方が不倫に夢中でヤバイ状態だが、なんとか高尾店長から隔離し、二人を真っ当な夫婦にしたいと、現在行動中らしい。


「そんなことできるんですか?」


「さあな? 社長、スイッチが入って結婚式も全仕切り状態だからな」


 さすがに、彼も今の状況はおかしいと思っているようだ。

 それを社長に言うつもりはないようだが。

 婚約者がいるにも関わらず、不倫に走る女性社員を助け、二人を真っ当な夫婦に戻し、その結婚式を晴れやかな気持ちで仕切る。

 

 社長に悪意はないのであろうが、高尾店長をクビにして隔離したところで、じゃあその二人が不倫をやめるのかって話になると思う。

 クビになれば、高尾店長の時間も増えるだろうからだ。

 不倫でラリっている二人に常識なんて通用するのか? という問題もあった。


「結婚させなければ済む問題では?」


「社長は、とにかく結婚式を取り仕切りたいんだよ」


 そんな結婚、その時は誤魔化せても時間の問題のような……。

 結婚してしまえば、あとは勝手に上手く行くとでも社長は思っているのであろうか?

 今、ある哲学者の言葉を思い出した。

 『地獄への道は、善意で舗装されている』と。

 社長は、奥さんになる女性社員を真人間に戻そうとしている。

 これは善意から来ているのだが、実は余計なお世話、特に富田さんに関しては不幸でしかないかもしれないのに。

 ここは、スパっと中止した方がいいような気がする。


「あーーー、結婚式出たくねえ」


 私も出たくないが、どうせ呼ばれないだろう。

 そう思いながら、終電の少し前に電車に乗ることができた。

 家に帰ってから、五時間くらいは眠れるかな?

 五時間なんて甘い。

 私は三時間だとか、今日は寝ていないとか、日本人は寝ていない自慢が大好きだが、私は君たちとそんなことで競争しようとは思わない。

 最低でも六時間は寝させてほしい。

 現時点では、それも贅沢な話であったが。


 手塚治虫も石ノ森章太郎も、寝ないで漫画を描いて六十代で死んでしまった。

 一方、よく寝ていた水木しげるは長生きしている。


 私は、水木先生のように生きたい。

 彼のような才能は、微塵も存在しないけど。

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