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BITTER BETTER SONGS  作者: 糸舞ランタ
第1章 笑えねぇ冗談
4/5

三話 白銀の世界

 ううっ…。



 体中が痛い。

 そして、凍えるような寒さに襲われる。


 

 ううっ…。


 一体何があったんだ…。

 俺は、今できる最大限に頭を回転させる。


 そうだ!

 俺たちは雪の家にいて、急に停電が起こって、気を失ったんだ。


 

 目が覚めてから二分ほど経って、ようやくぼんやりしていた俺の視界がはっきりしてきた。

 幸い、怪我らしい怪我はないようだが…。



 …


 ……


 ………



 言葉が出なかった。

 

 俺たちがいるのは、だだっ広い雪原の上だった。

 目の前には、雪をかぶった、巨大で立派な山脈。

 背後は、スキー場のような坂がある。

 

 皆も、既に、目が覚めているようだったが、俺と同じだ。

 絶望も希望もない。

 ただ、今起こっていることが、俺たちの脳のキャパでは、理解できないのだ。

 完全に思考が停止している。


 昨日までは四月だったはずだ。

 その証拠に、俺たちは全員春らしい服装である。

 誰一人、マフラーやコートなど、冬を連想させるアイテムを身に着けていない。

 

 春から飲まず食わずで、冬まで命が続くはずがない。

 

 そうだ。

 日付を確認しないと…。

 

 ポケットから携帯を取り出す。

 

 …反応なし…


 電源切れだ。


 まぁ、冷静に考えて何ヶ月もバッテリーがもつはずがない。


 だが、動かないと、このままあっちの世界へ逝ってしまう。

 ここは真冬の雪山だ。

 しかも、俺たちは薄着。


 俺は、皆に呼びかけた。

 

 「おーい!

 このままじっとしていても仕方がない。

 とりあえず、この近くに山小屋なんかがないか、調べないと。

 怪我しているヤツはいないか?」


 皆、首を降る。

 

 一応皆に確認したが、誰も食料を持っていなかった。

 携帯も使えない。


 

 俺たちは、坂を下ることにした。

 目の前の巨大な山は、こんな軽装備じゃあ登るのは危険すぎる。

 体力もできるだけ、温存したい。


 出発しようとした矢先…。


 「いてっ!」


 ローズが盛大にひっくり返った。

 

 おいおい…。

 早速、先行き不安じゃねぇか。


 「だ、大丈夫か??」


 「う、うん…。

 でもなんか、おっきい固いものに躓いた…」


 「どういうことだ??」


 辺りは膝下まで埋まるくらいの積雪量なのだが、そこに何かが埋まっていたのかもしれない。

 

 体力はできるだけ温存しておきたかったが、何か使えるものかもしれないので、男二人で掘り起こすことにした。


 この雪は踏み固められていない新雪で、掘るのは実に容易だった。

 

 十センチほど掘ると、何か箱のような固いものにあたった。


 周りから攻める。


 「ギター!!!」


 箱の全貌が露わになった瞬間、雪がそう叫んだ。


 「私の、お気に入りのギターだよ」


 開けてみると、見覚えのある赤いギターが姿を現した。

 

 そうだ、あのときのライブの。


 でもなんで、こんなところに…。

 雪は、何もかも忘れたように、ギターを大事そうにナデナデしている。

 

 さらに、それだけではなかったんだ。

 近くに、もう一つギターが、ベースも一つ埋まっていた。

 どちらも、雪のものらしい。


 謎は一つ増えたが、とりあえず担いで持っていくことにした。


 

 俺たちは、寒さと戦いながらも、なんとか坂を降りきった。

 坂の下は、結構開けていて、積雪量も地面から数センチといったところだ。


 坂を背にして、右手には森林。

 正面から左手にかけて平坦な道が続いている。

 進行方向を決めるのを兼ねて、少し休憩することにした。


 「休憩しよう。

 雪を体温で溶かして飲むんだ。

 水分は取っておいた方がいい」


 

 

 ゴォォ… ゴォォ…


 

 森の方から、何かが近づいてくる。


 ソリだ!!!!


 人が乗っている!!!!

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