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BITTER BETTER SONGS  作者: 糸舞ランタ
第1章 笑えねぇ冗談
1/5

プロローグ

――― もう一度 君の笑顔が見たい 声が聞きたい 

 きっと僕はそのために歌い続けてきたのだろう ―――


 「ゔっ、だせぇ……」


 湊太そうたは使い古した作詞ノートを閉じたと同時に、どこからともなく湧いたこそばゆい感覚に襲われた。

 一体、何回このノートに八つ当たりしたのだろうか。


 カーテンを開けると、そこは真っ白な世界が広がっていた。

 視界を埋め尽くすほどの雪が、太陽(ここではティモニアと呼ぶらしいが)の光を反射し、眩しいくらいにキラキラと光っている。


 初雪か。もうそんな季節なんだな……


 もうすぐこのナイト・レザルの町に来て三年になる頃だろう。

 ちょうど地面がこんな真っ白の日だった。

 俺たちは、ここを出て行くどころか、毎日特に変わったことも起こらない生活を繰り返しているだけで、どちらかというとこの町での定住への道を突き進んでいる。


 「うぉぉぉぉぉぉーい! 遅刻だよ、ちこくーーーーー」


 なにやら、玄関が騒がしい。

 毎日の事なんだがな。

 あいつだ。

 風谷かざや ゆき


 俺と一緒にここへ来た。

 まぁ、同胞ってわけ。

 

 そして、俺が結成した、バンド、「オメガ」のメンバーでもある。

 ギター担当だ。

 ちなみに、この俺がボーカルの西国さいごく 湊太だ。

 他のメンバーもおいおい紹介しようと思う。



 10:34


 「おっそーーい! 四分遅刻だよぉ」


 「俺が時間通りに出てきたことあるか?」


 これも、毎日のお決まり文句みたいなもんだ。


 「今日は確か、川沿いの商店街の広場だったよな?」

 

 「うん! 十一時からだよ」


 ここでは、自分で稼いで生活していかないといけない。

 俺たちは、路上やイベントのステージとかで、ライブをしてお金を貰っている。

 と言っても、肝心のチップは、お客さんの裁量なので、日によって稼ぎはまちまちだ。

 

 大した収入がない俺たちが立派な一軒家に住めるのも、この仕事をやっていたからこそかもしれない。

 まぁ、そういった細かい話はおいおいしようではないか…


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