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底知れぬ力

ディアスとペンが、呪文を完成させようとしていた時

ティージングが「城壁(シティー・ウォール)」魔法を放つ。

発動したのは黄色の魔法陣だ。

彼女は特に意識したわけでもなく、ただ

魔法を唱えると、黄色の魔法陣が生成されるようだ。

これに対して勇者ディアスとペンの魔法が放たれる。

真空の刃(バキュアム・ブレード)

ディアスは白銀の魔法陣、そしてペンが紅い魔法陣で

呪文を完成させる。

この勇者二人の魔法でティージングの「城壁(シティー・ウォール)」を

なんとか相殺する事ができた。

しかし、二人の勇者にとって、それで安心できる状態ではなかった。

それは、リジュアルの魔法詠唱が終わろうとしていたからだ。

ティージングに防御魔法を使わせたのは

勇者の潜在能力に対して、警戒を行った結果だったし

その彼女の魔法が破られたことによって

兄妹の判断が間違っていなかったことが証明された。

ただ、兄妹にとって勇者たちを少し過大評価していたのだろうか?

まさか、妹の魔法を破るために二人の勇者が力を合わせなければならない

などとは、思いもしなかった。

そしてそれは、兄妹の勇者に対する侮りにつながっていく。

それは、自分の力のほぼ全てをリッジに託したディアスにとって

屈辱ではあるが、有難い事だったかもしれない。

そんな思惑が交錯する中で、勇者たちにとっての当面の問題は

リジュアルの魔法を、どう回避するか?

という点だ。

勇者二人は、新たに魔法を詠唱する余裕が無い。

そんな危機的状況でディアスが上空のペンをちらりと見た。

その視線を受けたペンは

「勇者っていうのは、ずるいやつが多いね!」

そんな独り言を呟く。

炎の矢フレーミング・アローズ

呟きと同時にリジュアルの魔法が解き放たれた。

ティージングの「城壁(シティー・ウォール)」の効果があっても

攻撃できるようにと、唱えた呪文だったが

既に城壁は破壊されて跡形もない。

そこでリジュアルは魔法の標的を

ペン、ただ一人に変えていた。

ディアスにしてみれば、敵の呪文を聞いて

どういう効果があるか?

というのは、わかっていた。

その上で、ペンに対しての攻撃になるだろう

という思いから、彼に対してのアイコンタクトを

送ったつもりだったが、ペンの唇の動きを見たディアスは

やはり、言葉によるコミュニケーションは大事だ。

思いは、通じないものだ。

と感じていた。

そんなディアスの思いとは関係なく

上空に漂うペンに対して、炎の矢が次々と襲いかかる。

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