集う力
魔王女たちが会談を行っていた会場に
アブソルートとシーミング、ベーゲルと彼に従う
リンナーとカフェイロが現れた。
アブソルートとベーゲルが並んで会場に入って来たのに対し
シーミングとリンナー、カフェイロは少し時間をずらして入って来た。
彼らの到着により、エンビーもボーンリスを呼ぶために使いを出した。
ほどなくしてボーンリスが現れる。
しかし、彼は一人ではなかった。
一緒に入って来たのは、真正勇者協会の幹部でハミットと
ムントエだ。
二人は本来であれば、二人ともジェラスの名を継ぐのにふさわしい人物だった。
だが、不幸にも、その能力の高さが協会幹部の反感を買い
力を封じられ、末席で監視下に置かれている。
二人は共に真正勇者協会の内部での諍いを望まず、全てを受け入れていた。
しかし、今回のトーレス遠征において協会やり方を見て
かつて弟子だったボーンリスへの扱いや、身勝手なジェラスたちの
行動に嫌気がさし、幹部たちが会談を行っている間に
ボーンリスへの協力を申し出ていた。
こうして管理者に立ち向かうべくその場に集まったのは
フィリン、ゼン、アブソルート、シーミング、ベーゲル
リンナー、カフェイロ、エンビー、ボーンリス、ハミット、ムントエ
の十一人になった。
皆が揃ったところでフィリンが口を開こうとすると
入り口の辺りから
「勝手にこのようなことをされては困りますな。
この会談で主軸となる我ら真正勇者協会の許可なく
行動することは避けて頂きたい」
という声が聞こえて来た。
そこに立っていたのは、先程帰ったと思われていた協会の
幹部インシディとそれに付き従うジェラスの二人だ。
彼らはその場にいる全員が見渡せる場所へと移動する。
そこで皆の顔をゆっくりと見まわすとインシディが
「まあ、まずは座りなさい」
と言った。
皆は特に反論するでもなく、素直に着席する。
それを確認した彼が再び口を開く。
「では、この状況に至る経緯を聞こう。
説明したまえ」
顎先でフィリンをさし示し、お前の役目と言わんばかりの態度に
不快感を示す者がいたが、フィリン自身が全く気にしていないようなので
軽く受け流された。
後は指名を受けたフィリンの淡々とした状況説明に、全く事情を知らない
者たちが驚愕の声を上げる。
そして、話を終えたフィリンに、ご苦労。
と声をかけたインシディが立ち上がり
全員を見下ろしながら語り掛ける。
「諸君、先程の話を聞いて理解したと思うが
この世界は危機に瀕している。
それは、かつてナザード大陸が魔王によって蹂躙され
人々の未来が失われようとしていた
そう、まさにあの時をに匹敵するほどの危機を迎えている。
そして、奇しくもこの場には、かつて魔王を討伐するために
立ち上がった十三人の勇者と同じ、そう、同じ人数が揃っている。
我々はこれを、運命として受け止めなければならないだろう。
私は真正勇者協会の幹部として、また、勇者インシディとして
この事態を見過ごす事ができない!
皆の力を私に預けてくれ!
そしてこの世界に、勇者インシディとその配下たちによって
再び平和が訪れた事を後世に伝えるべく、立ち上がろう!」
そこまで言うと、少し荒くなった息を整え
ゆっくりと着席する。
そんな彼を見ていた他の者は、何と言って良いかと言葉を探していた時
再びインシディが口を開く。
「で、いったいどうすれば良いんだ?」




