蜃気楼大陸
「浮遊」
リッジの放った魔法が、周囲の勇者たちの体を浮かび上がらせる。
この魔法で勇者商会の刺客、として送り込まれた勇者たちの行動を制限する。
彼らは宙に浮いた状態で、なす術もない。
その様子を見たミグリスは、老いたとはいえ
未だに『国勇』の代表を務めるだけのことはある
と思っていた。
浮遊魔法で全員が自由を奪われた、と思われていたが
流石にシダイズとバニッティは魔法を相殺し
自由を取り戻している。
その他は全て自由を失い、ふわふわと漂い続ける。
そんな勇者たちが現状を打開するために次々と攻撃魔法の詠唱し
おびただしい数の魔法が繰り出された。
ろころが、その攻撃すらも放たれた瞬間に霧散する。
魔王たちが刺客の魔法を中和しているようだ。
傍目から見れば、大きな街道で何十人もの人間が漂い
それを眺める数人の人たち。
と言った感じに見えてしまう。
体の自由を取り戻したシダイズとバニッティも魔法を中和され
攻めあぐねているようだ。
そんな状況が二人の刺客によって変化する。
イクスとクルーシブが浮遊魔法にかかった状態で
魔王たちに近づき、ディアスに切りかかる。
不意を突かれた彼の集中力が途切れた瞬間
中和していた刺客の魔法が魔王たちに襲いかかる。
イクスとクルーシブは続けざまにディアスに襲いかかり
魔法を発動する余裕を与えない。
刺客の放った炎の槍が魔王たちを貫こうと迫って来る。
だが、その攻撃が体に触れようとする前に
再び消滅する。
伝承者のパナシアがその攻撃を無効にしていた。
ただ、パナシアにも余裕があったわけでは無い。
彼の抑えきれない魔法が、魔王たちの体をかすめるようになっていたからだ。
状況はさらに悪くなっていく。
膨大な魔法の応酬により、周囲の風景が
陽炎のように揺らぎ始めていた。
この現象に反応したのは、刺客に与する伝承者十名と
魔王側では、パナシアとゼンだけだ。
街道の揺らぎは大きくなり、やがて見たことも無い平野が
朧げに浮かび上がる。
「蜃気楼大陸、ついに・・・」
刺客側の伝承者、その代表ピヨピナである
その間にも、平野の実体化が進んでいく。
そして、ついに平原が実体化してしまう。
それを確認したピヨピナたちが平原へと身を投じる。
するとそれまで拮抗していた魔力のバランスが崩れ
蜃気楼が暴走を始めた。
その暴走にイクスとクルーシブが巻き込まれ
蜃気楼の中へと飲み込まれていく。
さらに暴走する蜃気楼の力に引きずられるように
刺客の勇者たちの魔力が暴走する。
魔王たちはその魔力を抑え込むために「支配の棘」を放ち
パナシアは蜃気楼を封鎖する「境界門」の魔法を放った。




