一触即発
街道を馬車が一台、ゆっくりと進んでいる。
中には魔王、勇者、伝承者の一団が乗り合わせていた。
村から五キロほど離れた所で不穏な集団が馬車を取り巻く。
御者をしていたペンがその異様な気配を感じて馬車を止める。
馬車の中ではパナシアが
「どうやら私たちのせいで余計な災いを招いてしまったようで
申し訳ありません」
そう言うと、ヒダンに馬車を降りるよう、促した。
ソミン子飼いの勇者たちの気配に紛れて巧妙に偽装されているが
僅かだが同じ伝承者としての存在を認識している。
これに対してミグリスが
「いや、今回はどちらがとばっちりなのかは、わからないですよ」
そう言って自分たちも馬車を降りる。
その頃には、馬車はすっかり囲まれている。
ただ、彼らは姿を見せずにまだ様子を伺っているだけのようだ。
そして、全員が馬車を降りたことを確認したのか
彼らの前にバニッティとシダイズが現れて言った。
「勇者リッジ、並びにミグリス。
あなたたちは人類の敵と共に行動し、世界を我が物にしようとした。
これは同じ勇者とは思えない愚かな行為だ。
だから今、ここで私たちがあなた達を成敗する!」
リッジたちは魔王と共にいる以上は、どんな言い訳をしても無駄だろう。
だからと言って、素直に成敗される訳にもいかず
このまま穏便に引いてもらう方法が無いか、考えを巡らせる。
その行動が無視をされたと感じたシダイズが剣を抜く。
そして剣に魔法の効果を持たせるために、呪文の詠唱を始めた。
それに反応して他の勇者たちも呪文の詠唱に入る。
こうなってはもう、戦闘は避けられないだろう。
平和的解決をあきらめた魔王たちも呪文の詠唱を始めた。




