神を超える者
形を持たないその存在は現れた時には三十センチほどの
白い存在だったが、シーミングが来る頃には
三センチくらいまで縮んでいた。
バニティはシーミングの到着を待って「神卸し」の儀式を行う。
すると、御霊が依り代に憑依する。
儀式の完了を確認したバニティがシーミングの額を傷つけ
そこに「第三の目」を施し、自分の魂の一部を埋め込んだ。
これで万が一、シーミングが自分を裏切った場合にも
額の封印を開放することで彼の意識を封じ込める事ができる。
また、神の力が及ばない存在が現れた場合でも
この封印に自分の力を上乗せすることで敵を倒す事ができるだろう。
これは恐らく、どちらの事態も起こりそうにないが、過去に自分の油断から
魔王女に遅れをとったことを教訓として、全ての手を打っておくことにする。
神を創造したことにより、神をも凌駕する存在となったバニティだが
そんな彼も二つの不安を抱えていた。
一つは、神を創造したが、実際の「依り代」としての能力は
彼の弟であるレヴァの方が優秀だった。
そのために、神がシーミングに定着で来るのか?
ということ。
もう一つは、魔王たちも神を創造しているのではないか?
というものだ。
実際、協力を求めて来たメドシンの神に対するこだわりを見ると
魔王女も、神の創造に何かしら行動しているかもしれない
と思っていた。
現状ではシーミングと神の定着には、しばらく時間が必要だろう。
ただ、幸いなことに神の創造の副産物である聖獣のおかげで
戦況は有利のようだ。
この状況が続けば、神を完全な形でシーミングと一体化できるだろう。
そんな事を考えながらバニティは魔王に対して新たな手を打つことにする。




