勇者たちの反撃
トーレス大陸で教団と戦闘中だった真正勇者協会の長ジェラスは
魔法の変革により部隊の編成を行い、聖獣を次々に撃破していった。
ただ、それは変革前の旧世代聖獣に対しての優位に過ぎず
変革後に投入された聖獣によって、再び劣勢に立たされている。
そんな時、正統勇者組合の長であるエンビー自ら単身で現れた。
エンビーはジェラスに対し、主軸メンバーの招集を要請する。
そして現れたジェラスとその側近たちに戦況を聞く。
すると、現在の敵戦力で勇者たちと戦っているのは聖獣のみで
聖導師や十三聖者といった人間が主力の部隊は後方にいるようだ。
そして、聖獣は現在七体も存在している。
これまでに紅い魔法陣で攻撃を行ったことや、白銀と紅い魔法陣の
二重魔法陣での攻撃を行ったことも報告され、それらすべてが
聖獣に対して無効だった、と結論が出されていた。
そして、その場に重苦しい空気が流れる。
「同じ色を重ねてみたら?」
突然のエンビーの発言に、一瞬みなの注目が集まる
しかし、それに対する答えも出ていたようで、色が同じだと
効果が打ち消されるという。
すると続けて紅・白銀・紅などの組み合わせではどうか?
そのほかにも、色々な組み合わせをしてみてはどうか?
という質問が行われる。
ただ、これも検証済だったようで、増幅の効果が得られないようだ。
では、さらに上位の魔法陣生成に関しては?
という問いに、初めて明確な答えが返ってこない。
それは現在、勇者たちが魔法陣の生成を試みているが
今の所成功はしていないため結論が出せずにいたからだ。
そこで、今度は聖獣に対する精神攻撃に関する質問を行う。
すると魔獣は精神防衛魔法を行っており
こちらの精神攻撃魔法を受け付けないという。
ここまで聞いて、彼らなりに戦ってきた結果を踏まえ、ジェラスに対し
エンビーが提案したのは、聖獣に対して幻術を使用する事だった。
ジェラスの部下たちからは、幻を見せて何の意味があるのか?
という問いが多く帰ってきたが、エンビーの狙いは幻により
聖獣の精神不安を引き起こし、その精神を防衛している魔法という
鎧を剝ぎ取ることが目的であり、その結果
それを足掛かりに精神魔法を使用する、というものだ。
これは、聖獣がこの世界に生み出されてからそれほど期間が立っておらず
いままでの勇者の攻撃が、恐れるに足りない物だと思っているから
そこに付け込もう、というもので。
たとえ幻覚でも、聖獣は自分の体が傷つき、死の恐怖に襲われたなら
まともに魔法を維持することはできないだろう。
そしてもし、この計画がうまくいかなかった場合は
エンビー自身が聖獣と戦う事を約束した。
こうして、今までの部隊を再編し、新たに幻術と精神攻撃を
主軸とした部隊が何組も作られた。
そしていよいよ、対聖獣の第一陣である五人の勇者が出発をする。
夜間の全てが寝静まった時間に聖獣の所に到着し
標的である他の聖獣から一番離れた一匹を攻撃する。
心地よい眠りを妨げられた怒りであたりを見回すが
靄がかかっているようで、敵を視認できない。
周囲を伺う聖獣の前に、自分と似た異形の魔獣が現れた。




