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伝説 4

魔王城、謁見の間。

「わが君、もはや一刻の猶予もありません。

城を捨て、陛下の支配が及ぶいずれかの土地に向かわれますよう」

玉座に座る魔王の傍らに立つ側近が進言をする。

「良いのだ、ここで勇者に討たれることが

この先、人間の本当の試練となる」

静かだがよく通る声で魔王は言った。

そして、そのまま静かに時を待つ。


城に向かって飛び立った魔王軍の飛龍部隊がひと時途切れた

と思われたが、地上部隊による攻撃が再び開始されている。

更に、上空に先程とは違う増援と思われる飛龍軍団が表れた。

「カスミ殿、ここは退いて体勢を立て直しましょう」

後方支援の指揮をとる部隊長がカスミに声をかける。

「わかりました、上空の兵を牽制します」

言ったあと、呪文を唱え、飛龍に放つ。

すると三半規管を狂わされた飛龍が数匹、大地へを墜落した。

だが、運悪く落ちた場所には国王軍がいた場所もあった。

さらに、墜落し、混乱した飛龍は火炎を吐き続ける。

これにより魔王軍、国王軍共に激しい混乱に陥っていく。

だが、魔法を警戒した上空の飛龍部隊は

国王軍上空から離れて滞空をしている。

先に混乱を収めたのは国王軍だった。

上空の攻撃が再び始まらないうちに、何とか退却をしようとする。

そこに魔王軍の後方、しかも上空にさらなる兵力が表れた。

魔王軍の増援と思われる軍団、それを見て滞空していた魔王飛龍団が再び攻撃を開始する。

上空からの攻撃は苛烈を極めた。

逃げ惑う国王軍。

勢いに乗った地上の魔王軍も混乱を収め、攻撃に加わり

その動きに一瞬気を取られたカスミに、上空の飛龍の吐く火球攻撃が肉薄する。

かろうじて攻撃を避けた、が爆風を受け馬上から弾き飛ばされる。

地面に叩きつけられ、一瞬、意識が遠のいた。


ほぼすべての飛龍を連れて、魔王軍のあとを追ったクラウス。

目の前を遮る魔王軍の飛龍軍団をかわしながら進んでいく。

このまま最速で魔王城まで。

そんな思いで飛龍を駆る。

その頬にポツリと雨粒があたりだした。

視界が悪くならないうちに、と気持ちばかりが焦る。

そして、遂に魔王飛龍軍団の背後をとらえる。

迅速な判断で追尾したとはいえ、こうも早く追いつけるには

原因があった。

前方に雷雲があったからだ。

魔王軍も部隊を進めようと躍起になっているようだが

雷雲の下を通る時に落雷を浴び墜落する。

全ての飛龍が落雷を受けるわけではないが

付近にいた飛龍に動揺が走り、コントロールを失っていく。

結果として魔王軍のスピードが落ち、クラウス達が追いつけたのだが

残念ながら雷は国王軍に味方するものではなかった。

雷雲の下を抜けようとする者には雷が落ちるという

善悪に関係なく訪れる自然の驚異。

それは激しさを増すばかりで、遂に飛龍の本能による恐怖は

人間のコントロールを離れ、自己防衛による離脱を図ろうとする。

なんとかこれを抑えたクラウスたちは、一旦、地上に降りて雷雲が過ぎるのを待つ。

着陸に際して、彼が見たのは遠く西の空が明るくなってきている様子だった。

このまま待機して再び上空を、という強う思いに駆られる。

最速で救援に向うため、クラウスがほとんどの飛龍を集めてしまったために

リベッツの部隊は苦戦を強いられているだろう

もし、彼らが破れるようなことになったら、魔王城にいる国王軍は

殲滅されるだろう。

じりじりしながら森で待機していると突然、魔王軍の攻撃を受ける。

飛龍を失った魔物たちによる攻撃だ。

彼らの狙いは飛龍だったため、遠巻きに弓矢や魔法で攻撃し

接近戦にならないよう、クラウスたちが反撃に転じる前に森の中に撤収する

ゲリラ的な戦い方だった。

国王軍は飛龍のそばを離れることができず

徐々に消耗していく。

時間にすれば1時間程の攻防だったが、被害は大きい。

なんとか撃退した頃には、ようやく雷雲が去っていた。

周囲に警戒しながら、クラウス達は再び飛び立つ。

その眼前には、ほんの少し前に飛び立った魔王飛龍軍団の姿が見える。

最後尾に追いつくと、激しい空戦が始まった。

落雷により数が減った魔王軍は速度の速い部隊を百騎程を先行させ

残りが足止めを行う。

それを追うクラウス他50騎が混戦を抜け、魔王城へと向かった。

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