二つの紋章
ナザ-ド大陸のカルウ王国から独立した国
パリット公国、この国にも勇者の末裔がいる。
彼らはかつてナザ-ドが魔王に蹂躙されようとした時
他の勇者と共に戦いに身を投じたの勇者、クラウスとカスミの子孫だった。
二人の勇者は存命中、幸せな人生を過ごしたが
その子供たちに不幸が訪れる。
彼らが結婚をし、双子が生まれた事が不幸の始まりだったのかもしれない。
二人はエンビ-とジェラスと言い、彼らは勇者として優劣がつけられないほど優秀だった。
ただ、彼らが優秀過ぎた為にカスミとクラウスの亡くなった後
真の後継者としてどちらが相応しいか、どちらが紋章を継ぐのか
という事で二人の溝は深まっていった。
そしてパリット公国建国の際、長男のエンビ-が正統継承者として
協力を申し出る。
これにより、パリット公国において勇者の本流と言えばエンビ-家
傍流がジェラス家といった扱いを受けるようになっていった。
ジェラス家はこれに反発し、自分達こそが本当の継承者であると
自らを真正勇者と名乗るようになった。
更に彼はかつて魔王討伐の際に父が国王より賜った紋章を掲げ
自分達の象徴としていった。
これに対し、兄であるエンビ-は母方の紋章を掲げ
自分こそが正統継承者であると公国内の貴族達に根回しを行っていく。
こうして、クラウスとカスミが結ばれて一つになった紋章は
その子供たちによって、再び別れる事になった。
ただ、公国内での支持は初めに動いていた兄の地位がほぼ確保されてしまった為
弟のジェラスは公国以外の国に対して働きかけを行うようになっていく。
その結果、百五十年の時を超えた今では
公国内での正統派勇者の勢力は揺るぎないものになっていったが
ナザ-ドの他の国やクロツ大陸では真正勇者の勢力には及ばなかった。
そんな彼らに魔王復活と言う情報が入って来る。
そこで正統勇者組合は、公認勇者として魔王討伐に向かう事を決めた。
ところが、非公認勇者である真正勇者協会では今回の魔王討伐を辞退する。
この時、勇者協会には他にも複数の情報が入って来ており
ここで魔王討伐に動くことは得策ではないと考えていた。
彼らは公国での居場所を奪われ、他国へと進出していった結果
勇者組合と比較にならない程の情報を手に入れることが出来る。
そこで彼らの選択は、ト-レス大陸でクロライド教と共にインフェクシアス教を
迎え撃つという事だった。
カルウ王国が魔王とクロライド教に悩まされている状態で自分達が
クロライド教に加勢する場合、決断しかねているカルウ国王にも
クロライド教にも恩を売ることが出来る。
まして、敵対するインフェクシアス教を倒せばそれだけ彼らの勢力拡大に繋がる。
そして今、魔王討伐を行わない理由は、現状では魔王の姿が確認されておらず
魔獣や魔物達の組織だった戦闘行われていない事から
状況が確認できるまで、動き回るのは得策ではないと考えたからだ。
また、情報として南ナザ-ド連邦の勇者とパリット公国の勇者
そして恐らくはカルウ王国の勇者も魔王討伐に向けて動き出すようだ。
となれば、競合する相手がおらす、敵が人間の方が勝つ確率も大きく上がる。
こうして真正勇者協会の幹部はト-レス大陸ヘ派遣する人材を選別すると共に
カルウ王国国王に対してに対して、協力の意志を表明した。




