カノア森林地帯
彼らは夜通し歩き続けた。
そして明け方頃、カノア森林地帯の小さな村にたどり着く。
木こりたちの村の様で、側にある川には何本もの材木が繋がれていた。
三人はその村で小休止することにして、食堂でもあれば入ろうかと村の中心に進むと
明らかに木こりではない着飾った男女の姿を目にする。
違和感を感じながらさらに村の中心へと進むと
そこには木こりの村とは思えない、場違いなほど豪華な宿が数件建っている。
三人は状況確認の為、その一つに入ってみる事にした。
「いらっしゃいませ、至高の勇者亭へようこそ。
ご予約済の方は一番、ご宿泊は二番、お食事などご休憩は三番
観光案内は四番、勇者の護衛をご希望の方は五番。
の窓口をご利用くださいませ。
それ以外のお問い合わせに関しましては私が承ります」
入り口で声をかけて来た男はそう言った後、一礼して道を開ける。
とりあえずと言った感じで三人は三番窓口へと向かう。
先客が二組ほどいたが、ほどなくして順番が回って来る。
「お待たせいたしました。
お食事であれば本館にナザ-ド大陸が誇る至高の勇者コムの出身地
失われた国、ホービズの料理を再現したレストランがございます。
また、二号館ではコムがこの大陸でこよなく愛したとされる
現地の料理が味わうことが出来、三号館では蛮族バナヤ-ハットの
民族料理がお楽しみいただけます。
この民族料理に感銘を受けた魔王が蛮族の長ベルクに魔獣を授けた
という噂があるほどです。
この大陸に来なければ食べられない、貴重な料理ですよ。
是非、この機会にお召し上がりください。
また、ご休憩であれば、あちらに喫茶スぺ-スがありますのでご利用下さい。」
笑顔で定型文を読み上げた窓口の女性に礼を言い
三人は喫茶スぺ-スへと移動する。
彼らは注文を済ませ、お互いの様子を伺う。
「わずか二百年ほどの間に、なんだかすごいことになっているねえ」
時間の感覚が人間と違う彼らにとって、この変化は驚きだった。
「しかも、フィリンは食い物に釣られたとかいってたな!」
普段は頭の上がらない彼女に対して、ここぞとばかりに口撃 する。
「まあ、せっかくだから、この際少し調べてみないかい?」
ゼンの提案にフィリンが
「そういえば、お金、誰が持ってるの?」
その言葉にゼンとペンはお互いに顔を見合わせ同時に『え!?』
と言う顔をする。
互いの表情を見た二人は同時にフィリンの顔を見て
そこでまた、三人同時に『え!?』と言う顔をした。
そこに三人の注文した飲み物が運ばれて来る。
ウエイターが置いた伝票を恐る恐る手に取ると
そこには、二百四十ゼマと記入されている。
それを見た三人は再び互いに見つめあう。
そして、思い出したようにペンが懐を弄ると
小袋を取り出し、中身を数えると
なんとかここの支払いに足る金額が入っている
という事がわかり、三人は安堵するのだった。
こうして魔王達の冒険の最初の難関はクリアされた
かのように見えた。
ところが問題は支払いの時に起ったのである。




