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クロツ大陸 22

ベルクの周りに兵士達が集まっている。

彼の傍らで肩を貸しているのはペンだった。

「ここで私の役目は終わりのようだ。

力となってくれた皆には、感謝している。」

そう告げると、ペンの肩から崩れるように地面に倒れ

意識を失う。

ベルクが再び意識を取り戻したのは日が落ちて

空には満天の星が輝いており、周囲には虫の鳴き声が聞こえている

既に兵たちの姿はなく、残っていたのは

老婆ユリイと十六番目の勇者ペンの二人だけだ。

彼女らはベルクが倒れた後、兵士たちにいくらかの金を分け与え

皆を解散させていた。

意識が戻ったことに気が付いたのかユリイが話しかける。

「気分はどうだい?」

「あまり良くはないよ、けれど水を貰えればいくらか良くはなるかもね」

その答えにペンがベルクを抱き起し、ユリイが水を飲ませた。

すると突然、虫の声が止んだ。

「指輪は使わなかったんですね」

闇夜から突然現れた男が問いかけた。

「やあ、君を待っていたんだ。

これを返そうと思ってね」

そうして指輪を男に差し出す。

残念そうに指輪を受け取ると

「貴方なら、いや、貴方こそがこの指輪を使える人だと思っていたんですが」

そう言われてベルクは弱々しく答える。

「期待に沿えなくて申し訳ない。

ただ、今は、それで良かったんだと思える」

それは、心の底から出た言葉だった。

そして、ユリイに水をもう一杯貰えないか?

と声をかける。

ユリイが再び水を差し出した時には

彼は既にこと切れていた。

ベルクの最期を看取った後男は

「これから、どうするつもりですか?」

ユリイとペンに尋ねる。

「俺はこの戦いには興味は無かったんだよ。

俺に興味があったのはベルクと言う人間だけだった。

彼が何に対して喜び、何に対して悲しむか

そんな事を共感したかっただけなんだ。

ただ、最後に勇者と話しをしたことで、彼が許せなくなっちまった。

もし、魔王を倒した勇者が全てあんな感じなんだったら

俺は勇者になり切れなくて良かったと思っている。

だから今からは、俺の勇者に対する感情を素直に表現しようと思っている。

要するに、勇者を倒す方法を考えるって事さ」

ペンの言葉が彼に求めていた答えの一つだったのだろう。

「もし良ければ、私が力になりましょう。

貴方が求める力を手に入れることが出来ると思いますよ」

そう言って、ベルクから受け取った指輪を差し出す。

「俺に魔王にでもなれっていってるのか?

え-っと?」

そこで彼に名前を知らないことに気が付いたペンが言葉に詰まる。

「ゼン、と呼んでください。

貴方の力で、魔物と人間の共存できる世界を作り出すことが出来るかもしれませんよ?」

ペンはそれを聞いて、魔物は悪であり、強者の為に弱者が犠牲になる事は避けられない

と言っていたコムの言葉か思い出されていた。

「勇者になり切れなかった俺が、今度は魔王を目指そう

って言うんだから、不思議なもんだな」

そう言って差し出された指輪を手に取った。

「貴女はどうします?」

ゼンがユリイの返事を促す。

彼女は、二人のやり取りを目の前で見ていたが

「私はもう年なんで、このままベルクの魂を弔って暮らす事にするよ」

それを聞いたゼンは、少し残念そうに彼女を見る。

ただしれは一瞬で、今後の事を話をする為にペンと共にその場から去って行く。

残されたユリイも魔法を使い、ベルクの亡骸と共にいずこかへ去って行った。

その日を境に、クロツ大陸には数多くの魔物が出没するようになる。

また、魔物の出現はクロツ大陸だけにに留まらず

ナザ-ドやト-レス大陸でも現れるようになっていった。

この世界的な危機に再びナザ-ドの勇者達が立ち上がる。

伝説が終わり、平穏な時代の訪れを願っていた人々の期待は崩れ去る。

但し、その後の物語が始まるまで、少し長い時を待たなければならなかった。

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