クロツ大陸 14
解放軍が動き始める。
戦力的に言えば圧倒的な、解放軍が約一万の兵に対し
先住民族は非戦闘員を含めて五千程
実際に戦闘を行える兵士は千五百程度だった。
通常の戦闘であれば解放軍の勝利は揺るがない。
だが、敵は魔獣と魔兵で、二度もなす術がなく撤退をしている
この状況で再びターヅの方からドステン平原に進攻しようとするのには
理由があった。
数日前、一人の兵がタ-ヅのもとを訪れている。
タ-ヅは、バナヤ-ハットを倒した後に南下し
さらなる領土の拡大をする為、偵察を放っていたのだ。
しかし、その偵察によってナザ-ド大陸の元領主カークが
魔獣の力を手に入れた。
との報告を受ける事になる。
これにより、タ-ヅは進軍の決意をする。
今であれば、魔獣に対する対抗策が有効か確認することが出来る。
ただ、このまま長引けば最悪は魔獣に対抗する手段を得られないまま
ベルクとカ-クが共同してしまう。
という事まで考えられる。
ただ、こういった事情を知らされていない兵士たちは
突然の進軍という事態に動揺する。
しかも彼らの不安を取り除く為に口頭で
敵の魔法や魔獣に対する対策を立てている。
という抽象的な話をするだけだった。
こうして、魔獣や敵の兵士と戦った者達の恐怖の伝染は
静かに深く浸透していた。
そして、ココノア山脈からドステン平原に向けて広がる
カノア森林地帯を進軍中にバナヤ-ハットの魔兵士が潜んでいた。
兵士たちは魔兵士に狩られ、恐怖のあまり混乱し、四散する。
敵に向かおうとする兵士たちも逃げ惑う味方に阻まれて
攻撃が出来ない。
その状況を察知した飛龍部隊がドステン平原に向け
滑空する。
敵の首領であるベルクを討ち取る為だ。
そして、平原上空の魔獣と遭遇する。
彼らにとって不幸だったのは、魔獣の強さを知る者がおらず
攻撃の為、不用意に近づいた事だった。
この世界では飛龍は並ぶものが無いほどの強さを誇っており
その時までは、龍騎士達にもそう思っていた。
不用意に接近し、攻撃を加えようとした飛龍が
叩き落される。
尻尾の一振りで落とされた飛龍は既に絶命していた。
一瞬で五騎を失い、ヤ-ガモがいったん距離を置くように指示する。
そして再び攻撃に転じた時、彼らは魔獣の周囲を回り
隙を見て死角から火炎と鉤爪で攻撃をする。
その攻撃を嫌って腕や尻尾を振り回すが、今度は
どの飛龍にも当たらなかった。
これに嫌気さしたのか、魔法を唱え始める。
魔獣の体から黒い霧のようなものが現れ、その時接触していた
三体ほどの飛龍にとりつき、浸食を始める。
動揺し操縦者を振り落とし、暴れまわったが
逃れることが出来ない。
全身を覆われたまま地面に落下する。
そうしてようやく霧が消え、その後には
全身を黒く覆われた竜が蠢いている。
彼らは翼を広げて宙に舞い、飛龍に襲いかかる。
そのスピードは飛龍を越え、簡単に捕食する。
仲間を捕食され、注意を黒竜に向けた数匹が
魔獣の攻撃によって落とされる。
追い打ちをかける様に、魔獣が呪文を口にした。
詠唱が終わると大気中から光弾が発せられる。
これらの攻撃によって、飛龍部隊はその数を大幅に減らしていく。
そこに解放軍の魔法使い達が援軍に駆け付けた。




