クロツ大陸 13
セリスとダロアの二人の働きかけにより
戦闘を回避すべく、バナヤ-ハット陣営を離反した人々は
道なき山を北上していた。
先住民たちも立ち入らない未開の地で
争いを避け、平和に暮らそう。
という目的の為に、ただ単純に、山脈を超え
誰も足を踏み入れた事のない場所での生活
と、簡単に考えて参加をした者が多かった。
しかし、女性や子供の体力での移動は
ダロア達の予想に反して、遅々として進まない。
その上、悪いことは続くもので、彼らの行く先で先住民族が襲いかかる。
このような状態が続くと、当初は良かれと思って実行したはずの行動に
疑問を持つ者が出るようになった。
この事態を重く見てダロアがセリスと
バナヤ-ハット第二戦力を持つの部族の長であるプリツを招集する
招集されて開口一番
「本当にこのままで良いのか?」
今回、裏切り者の汚名を受ける覚悟で
セリスとダロア達の道中の警護役を買って出ていたプリツは
今回の事に大きな危機感を持っていた。
「ここで改めて皆の意志を問おうと思っています」
セリスが静かに答える。
そして、ダロアは
「このままでは山脈を越えることも難しい状況です。
予想より日数がかかりすぎている為
食糧が不足する可能性があります。
また、山脈を無事に越えた場合でも
その時には既に冬になっていて、やはり
食糧が不足する、という状況です」
と、今後の危機に関しても隠さずに話した。
それを聞いてプリツは
「それを全て、皆に話しても?」
と問いかける。
「プリツ様のおっしゃることもわかります。
この選択は、あまりに過酷で残酷ですもの
でも、隠さずに話す方が良いと思います」
そういうセリスを横目で見ながら再びダロアが
「この計画を強制するつもりはありませんでした。
子供達には可哀そうな事をしたと思っています。
ただ、私は・・・。
子供達が笑って暮らせるように
と思っていただけなのです」
ナザ-ドの魔王という存在の余波が、他の大陸の関係のない部族に
影響を与え、力を持たない自分達がその呪縛から逃れようとする。
弱い者達は、常に強者の犠牲にならなければいけないのだろうか?
どうせ痛みを受け入なら、ただ与えられる痛みではなく
自分の為になる痛みを受けよう。
そんなダロアの思いが、今回の離反の原因の一つでもあった。
「プリツ様、皆の意志を尊重します。
このまま我々と別の道を行きたい
というのであれば、そうさせてあげてください
できれば、兵士の方々にも選択をさせてあげたいのですが」
実際に、兵士の中にも不満を持っている者がいる事に対しての
セリスの配慮だった。
「良いだろう、本日中に決を採ろう」
そう言ってプリツは戻っていった。
そして、彼らと別の道を行くことを選んだ者は
全体の三割程だった、しかも、二割の者は独身の兵士で
自分達だけであればどうにでもなる、という者が多かった。
こうして人数が減ったが、別れた彼らにも食料を分け与えたため
特に改善はしていなかった。
だた、状況を知らされ上で選択した以上は
進まなければ確実に死が待っている、という状況が
全体の歩みを少しだけ早くしているようだ。
ドステン平原を出てから既に、一カ月が過ぎようとしていた。




