クロツ大陸 6
封印を開放し、敵を撤退させた.
その姿を彼らは神の使徒として崇めた。
バナヤ-ハットの戦士信仰している神の使徒の
姿に似ていたからである。
彼らの言い伝えによれば
『この地を乱す外界の者が現れた時。
使徒、降臨し、敵を滅す』
というものだった。
純粋に喜びを表現する戦士たちが大半だったが
一部の部族の民、特に元族長や取り巻きとして、利益を得ていた彼らは
この場で使徒が現れた理由に、疑問を持っていた
彼らの中では、他の部族が襲われ、弱体化し
自分達に吸収するために、使徒を今まで召喚しなかったのではないか?
と考えたのである。
しかし表面上は、バナヤ-ハットの本陣では今日の戦いの成果に
皆が祝杯を挙げていた。
各部族の長が賛辞を述べる為に、次々に本陣を訪れる。
やがて宴が終わり、彼らが帰った後、静かになった幕内でベルクが言った。
「二人を呼んでくれ」
それを聞いて警護の一人が陣を離れた。
しばらくしてやってきたのは、老婆と若い娘。
老婆は陣に着くなり、ため息まじりに
「この辺で止めといた方が良いんじゃないかい?」
と呟いた。
それを聞いて、ベルクが苦笑いをして、何か答えようとした時。
そこに、一人の男が現れた。
「しばらくここは良いよ」
彼の姿を見たベルクが警護の者達に言う。
そして幕内には、ベルク、老婆、娘、男
の四人になった。
「それで、どうするんです?」
男が訪ねた。
彼はナザ-ド時代からの元従業員でワイフと言い
自称、意外と頼りになる男。
というキャッチフレ-ズで、側近として
長年ベルクを支えてきた。
ただ、ベルクの話では
『未だに頼りになったことは無いので
今はまだ評価の途中、彼の今後に期待する』
ということらしい。
ともかく、このような問いに対して
ベルクの答えは決まっていたのだろう。
「反撃、ということになる」
迷うことなく言うのだが
この答えは恐らく、三人には予想していた答えだった。
そして、次の問いに対する答えもわかっていた。
しかし、あえて老婆が問う。
「どうやって?」
その答えが、ベルクの口から発せられようとした時
陣幕の外が騒がしくなる。
なかなか治まる様子を見せないことにいら立ったのか
肩をすくめたワイフが仕方なく
といった感じで、陣幕をでる。
数分後。
二人の男が戻って来た。
一人はワイフ。
そして、もう一人はペンと名乗った。
彼は更に、自分は十六番目の勇者であると告白する。
ペンの話では、ベルクの使役する魔獣は危険であり
このままでは、ベルク自身が取り込まれてしまう。
と言った内容を熱く語りだす。
しかし、それはその場にいる全員が予想していた事実であり
大した感銘を受けなかったようだ。
ただ、その事を伝えようとする気持ちに対して
感謝を示した。
その言葉に気をよくしたペンは、この陣営に加わりたいと申し出たのだった。
ナザ-ドで勇者として成果を出せなかった
その思いが、自分のを必要としてくれる居場所を求めた
結果だったのかもしれない。
こうしてペンはバナヤ-ハットの一員となった。
新しい仲間を得たベルク陣営はその後
今後の戦いにおいて、話を続けるのだった。




