クロツ大陸 5
ドステン平原。
解放軍の侵攻により、大陸を西へと撤退し続けていた先住民が
圧倒的な勝利を治めたのがこの土地だった。
バナヤーハットの首領であるベルクが封印を開放したのである。
封印のクリスタルは砕け、天空に魔法陣が繰り広げられる。
その魔法陣から異形の者が現れる。
上半身は人間だが、顔はワニで背中には翼があり
足はなく、長い尻尾を持っている。
全長は20メートル程ある巨大な存在は
解放軍に襲いかかる。
口を大きく開け、三人を一気に咥えたかと思えば
尻尾で十数人を薙ぎ払う。
解放軍の魔法使いたちが次々と魔法を繰り出すが
さほど気にした様子もなく殺戮を繰り返す。
しかし、解放軍は撤退をせず、尚も攻撃を繰り返そうとする。
そんな様子を見ていた魔獣は、恐らくは魔法であろう言葉を発し
大気中から光弾を放つ。
その威力で一度に三十人からの兵士が消滅をする。
この様子を見て解放軍指令ターヅは退却を指示し
10キロ撤退してココノア山脈の麓で陣を築いた。
この日、魔獣の被害だけで、約二百人もの兵士が犠牲になり
負傷兵を含めると更に百人は増えるという報告がもたらされた。
この結果を聞いたターヅは急ぎ幕僚を招集する。
そしてこの夜、解放軍司令部で今後についての会議が行われていた。
「今回の戦いにおいて、蛮族の攻撃に対する皆の意見を聞きたい。」
と、タ-ヅが切り出した。
その言葉を待っていた様に彼は言う。
「兵士たちの話を聞いて導き出されたのは
天空の魔法陣とは恐らく、幻術に導く為の手段だったと思われます。
蛮族とはいえ、魔法を使わない、と思わせていたのだと思われます。」
彼はターヅの恩師バーロアの甥でババロといい
今回の戦闘に参加していなかった為
兵士たちの報告から導き出したようだった。
「そいつは、まぁ、ちょっと無理があるかもです。」
これに異を唱えるのはターヅの幼馴染で義兄でもあるノッポだった。
「それだったら、今までの戦いでもこんな風になったてたんじゃない?
かもです。」
ノッポも今回の戦いに参加していなかったが
話を聞くだけでどうしても無理がある
と思われた為に、発言をしてしまう。
タ-ヅの立場を考えれば、余計な一言だったかもしれない
などと本来の趣旨とは関係ない事を考えてしまうのは
ノッポの悪い癖だった。
そんな妄想とは関係なく
ババロは全力で事態の打開に挑もうとする。
一つのことに集中すると他のことが見えなくなってしまう。
『全力ババロ』の本領が発揮されようとしていた。
「では、実際に戦った方々に伺いたい。」
口調は冷静だったが、既に周りは気づき始めていた。
「魔法を使った、というのはまず間違いないでしょう。」
静かだが、太い声で発言する。
彼は、最年長でまとめ役のオジだった。
落ちつた雰囲気と、不動の精神力。
『風 』な彼の見た目がまとめ役として
召集された要因の一つでもあった。
「しかし、今まで強大な魔法を隠している意味も
あまりないような気もしますが・・・。」
ノッポとババロに対して目で牽制しながら続ける。




