完全なる存在
魔王城上空に突然現れた見慣れない集団。
その存在こそ、ファウンが召喚したこの世界を統べるに相応しい存在だ。
彼らはこの世界を浄化し、新たな世界を作り上げるために
人間に戦いを挑む。
ファウンは彼らをカウンタフィットと命名し
この世界を治めるのに相応しい、完璧な存在
と考えていた。
対する人間は、突如現れた存在に対して様子を伺っているようだ。
その初動の違いが人間に大きな被害をもたらした。
新たな種、カウンタフィットの攻撃を無防備に受けてしまう。
上空を埋め尽くすほどの大群から放たれる魔法の槍。
それは家屋を破壊し、老若男女を問わず、無差別に降り注ぐ。
この攻撃を運良くかわした者たちが、ようやく上空の軍勢を
敵として認識する。
そして、新たな種の中には、地上に降りて肉弾戦を行う者も
現れている。
こうして、人間とカウンタフィットの種の存続をかけた戦いが始まる。
魔王城の内部でその様子を感じていた管理者たちのなかで
ファウンの顔に笑みが浮かんだ。
「知らない、と言う事は、自分の中の選択肢を狭める可能性がある。
だが今、君たちは私の理想とする世界の住人たちの存在を知る事が出来た。
そこで、改めて君たちに選択する機会を与えよう。
私の下に来ないか?」
そのファウンの問いにも、三人は揃って首を横に振った。
「自分と自分の理想に対して、あまり妄信的にならない方が良いわ。
私たち三人の力を合わせれば、まだあなたを封じることができるのよ」
ビネーションの言葉にサイデンが静かに頷く。
しかし、フィリンだけはファウンの笑みと、自信の理由が気にかかっていた。
そこで再びファウンが
「残念だ。
確かに、君たち三人の力と争えば、私に勝ち目はないだろう。
ただ、それは君たち三人の力を私に対して使えれば
ね。
おしゃべりをしている間に、始まったようだ
こうなったら、君たちも新たな世界の始まりを楽しんでくれ。
君たちのような有能な下僕がいれば、新たな世界も安泰だっただろうに・・・」
本当に残念だよ。
そう言い残して、ファウンの姿がその場から消えた。
残された三人は、そこで初めて彼の言葉の意味を知った。
カウンタフィットと人間の勇者の魔法による攻防。
その強大な魔力は蜃気楼大陸を再びこの世界に
具現化しようとしていた。
そして、その力はすべて姿無きフィリンに吸収されようとしている。
その力は強大で、大陸が具現化すれば、この世界そのものが
崩壊するかもしれない程の危険を含んでいる。
フィリンにとって、勝算があっての行動なのかはわからない。
ただ、阻止しなければ、世界の崩壊もあり得る。
それだけは、三人の管理者の共通した感覚だった。
こうして三人の管理者は、フィリンの力を封じるよりも
蜃気楼大陸の具現化を
阻止するために動き始めた。




