審判の時
ファウンが魔王城へ戻ってみると、サイデンとフィリンは
互いの思いに賛同できないまま、膠着状態が続いていた。
「すまない、少しばかり待たせたようだ」
二人の管理者にそう告げる。
その話し方には、大きな余裕が感じられた。
彼の謝罪の理由は、審判の時に遅れた事を言っていた。
だが、緊迫した二人の管理者がそのことを理解するのに
少し、時間が必要だった。
その時間を埋めたのが、デイーツァ大陸の管理者ビネーションだった。
「遅れた事に関しては、責めないでおきましょう。
でも、貴方がソイルの力を奪ったことは
はっきりと説明してもらわなければね」
そう言った彼女の言葉には心なしか敵意が含まれている。
それを聞いたファウンの答えは
「私が彼の力を奪ったのは、彼が管理者としての責務を忘れ
人間に偏った力を注いでいたからだ」
さらにファウンが三人の管理者に対して、自分の出した結論を述べた。
「君たちの気持ちを大事にしたいのだが
私の考えでは、やはり人間の存在は危険だと思う
そして、その人間に対抗できる力を持たない
他の大陸の存在も、もはや必要とは思えない。
当初の予定通り、完成された存在、すなわち
私が思い描いていた、秩序ある者たちによる世界の運営が望まれている
ということがわかった」
それに対してフィリンが
「あなた一人の考えで決まるわけでは無いはずよ」
そういって牽制する。
サイデンも
「人間の存在は危険だと思う、かといって
今の君の意見に賛成する気にはなれない」
とファウンの言葉を否定する。
「私たちの意思を無視して、貴方の意見を通す事は出来ない」
最後にビネーションが発言したところで
「良いだろう、君たち三人の内、一人だけその種存続を許そう。
辺境に浮かぶ小さな島で思いを果たせば、少しは気も晴れるだろう。
なんなら、三人一緒にその島で集まっても良いぞ?」
その言葉を聞いた三人が、ファウンを睨んだ。
「そう、そう言う所なんだよ。
結局、何も言えないのなら、初めから
無駄なことはしない方が良い」
意図的に三人を煽っている感じに違和感を覚え
フィリンがほかの二人を制してファウンに問う。
「何を考えているの?」
それに対してファウンが出した答えは
「力こそ正義。
それを今から証明しよう」
そう言って、自分の世界を作り上げるための眷属を召喚する。
不自然な、強行、とも思えるファウンの行動に
何か他に意図がある、というのはわかったものの
襲いかかる眷属の対応を優先せざるを得なかった。
こうして、この世界の覇者を決める戦いが始まったのだった。




