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求める者

リッジとミグリスが出て行った後、その陣営に残った者たちが

各々、自分のテントへと戻っていく。

一番に離れたのは仲間になるために

親子で無理やり押しかけた、バニッティとシダイズだ。

彼女らは、テントにレヴァを一人残してきた事を後悔していた。

不安な気持ちに駆られながら、足早にテントに向かう。

虫の知らせ、というのは

悪いことが起こる時に限って的中するようだ。

二人が到着したテントの中から、禍々しい気配が発せられている。

中ではどんな危険が潜んでいるのか?

そんな事を考えている余裕もなく、テントに飛び込んだ。

テントと入っても、二十畳はあろうか?

というほどの広さがあり

その中で一人の男が、意識を失って倒れているレヴァに

手をかざしている。

男は、先程リッジの陣営を出て行ったジェラスのようにも見える。

しかし、人相があまりにも変貌していた為に

確証が持てない。

「ジェラス?」

シダイズが恐る恐る訪ねた。

その問いに答えるように男の口から発せられたのは

爆風(ブラスト・ウィンド)

という呪文発動の言葉だった。

ジェラスがいつ呪文を唱えたのか、わからないまま

魔法によって弾き飛ばされる二人。

「まったく、人間というのは愚かな生き物だ。

自分以外の者を生かすために、自らの命を差し出すとは。

だが、その行為が全く無駄だった事を知らずに死ぬ

というのは、哀れでもある。

いや、それはむしろ滑稽だ、と言った方が良いのかもしれない」

二人の無謀な行動に対して、独り言を発するジェラス。

テントの外に弾きだされた二人は周囲の木々に体を打ち付け

意識を失っている。

邪魔者がいなくなったジェラスがレヴァの水晶に封じられた

トーレスの管理者、かつてナザードの魔王

と呼ばれた者の力を手に入れる。

力を奪われ、封印する必要がなくなった水晶が

音もなく砕けた。

「私も、かつて脆弱な人間だった。

幼い少年の命を無慈悲に奪うのは、心が痛む」

誰に対しての言葉でもない、それはもしかしたら

自分に言い聞かせていたのかもしれない。

テントを離れたジェラスが、バニッティとシダイズに

近づいていった。

そして再び

「君たちは、勇敢だった。

彼は、君たちの命と引き換えに、助かる事ができた」

そう言うと、ジェラスは二人に止めを刺した。


異変を感じたアブソルートがシーミングと共に

テントを訪れた時、ジェラスの姿は既に無く

テントの外に倒れているバニッティとシダイズ

その二人の死を確認したシーミングは、弟の死を覚悟し

テントへと入っていく。

倒れている弟の手を取り、脈をとった。

弟が生きていたことを確認した彼は

命を懸けて弟を救ってくれた二人に深く感謝するのだった。

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