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ドラゴンズ・ファクター  作者: アマシロ
7/12

第6.5話:“ことば”をもらった竜の話

本編が全然進まないので、おまけです。

ソフィ視点なので、お好みでどうぞ。仕様の関係で読みにくいですが…。


ペースが悪くて大変申し訳ありません。次の話から少しずつでもテンポを良くしていきたいと思っております。おまけなので今日の分は別に投稿させて頂きます。







――――――わたしは竜である。なまえはソフィ。




 タマゴの中でけっこうながい時間をすごし、今の相棒マスターにあった。こうして色々なことを考えられるのは、そのおかげ。


 アルトがくれた血から、人っていうのは“ちえ”くらいしかないって分かったのだけれど、“ことば”っていうのはおもしろいものだとおもう。





 そんなアルト……マスター? なんて呼ぼう。


 ニンゲンは“ていねー”だとか“しつれー”だとか、“さん”とか“ちゃん”とか、いろいろと面倒。それで、“竜使い”とかいうのは竜よりえらいらしい。




 ……つよいのは竜なのに?

 アルトはだれもえらばなかった、わたしをえらんだ“ヘンなヒト”。でも“ことば”をおしえてくれた、やさしいヒト。


 そんなわたしは“ヘンなドラゴン”で、アルト……さま? さん? めんどうなのでマスターと、いっしょだと楽しいからそれでいい。




 いっぱいいる、“なにもかんがえてないの”とはちがうのです。

 おなかがくぅくぅするとさみしいけど、マスターがいないのもさみしい。







 そんなわたしだけれど、まだまだ分からないことばっかり。

 “ことば”も、“ふーしゅー”も、“るーる”もいっぱいある。おおすぎ。ので、マスターをかんさつしておぼえる。





 マスターはまいにち違う色の“うろこ”をつける。“ふく”というらしい。布というのでできている。きれい。ずるい。わたしはいっつも“シロいウロコ”なのに。


 でもマスター、黒いのがすきみたい。

 ティアとちがって、ぽぽーん、ってすぐに選んじゃうけど、だいたいどこかは黒い。白いのも着てほしい。


 でも、ふくを着ないと“ぜんら”っていうらしい。“したぎ”っていうのもある。

 アルトの着替え中にティアがきて、どうしてかアルトおこられた。「とびらあけっぱなし」はダメらしい。“はだか”はみられちゃダメ? みせちゃダメ? ティアはアルト……マスターにだけときどき厳しい。でもマスターばっかりみてる。




 でもわたし、いっつも“ぜんら”だけど。

 ねぇ、マスター。わたしのふくは? って、マスターが着ないふくを引っ張ると、「遊ぶならこっち」って古いモーフを持ってくる。


 それをマスターが振り回して、わたしがとる。

 アルトのにおいがするから、けっこうすき。






 あ、ティアは“おとなりさん”っていうものらしい。

 つまり巣がとなりにあるご近所さん。おいしい“パン”までつくってくれるのはとってもうれしい。アルトも嬉しそう。わたしもつくってみたいけど、まだうまく火が出せないし、わたしの手だとパンをこねられない。くやしい。




 そんなティアも、竜使いらしくて。

 きょうタマゴが生まれて“風”のドラゴンが生まれた。ティアも血をあげてみたのか、“ことば”のわかるおとなりさんができた。



 ………アルトはまだわたしの“ことば”がわからないのに。ふふく。たいへんいかんです。そもそもわたしが“ことば”を使うって“はっそー”がないみたい。ひどい。


 竜の親は、子どもにいちばん“ひつよー”だとおもったものをあげる。アルトはわたしに“ことば”をくれた。のにわすれた。ひどい。ぜんぶ“なきごえ”くらいにしかおもってなさそう。ティアがこっそりおしえてくれたけど、アルトは“ボクネンジン”っていうらしい。むずかしい。ぼくねんじー。はやくヒトのことばをおぼえないと。







 えっと………それで、ティアの子はフレイってなまえになった。

 フレイはあんまりしゃべらないけどティアとおんなじで、ていねーな言葉を覚えたいみたい。おじょーさまなかんじが好きって言ってた。タマゴの中できいてて、きにいったんだって。




 ………わたし?

 タマゴの中…………アルトがあったかった。それだけ。













 そういえば、きょうは“おふろ”ってものもした。

 アルトがふくをぬいで、わたしに水をかけた。………つめたい! アルトは「あったかい」って言いながら水に入るけど、ぜっっったいヘン!


 さむいからサラマンダーとかいうのから“とった”ので火の精霊を喚んであったかくした。「あついあつい」ってアルトがあせってたから、わたしがお湯をかけた。



 ……おこられた。あわまみれにされた。ひどい。





「そういや、教本には50℃くらいのお湯をかけろって書いてあったっけ……うん、その、なんだ。ごめんな?」


「ピィ、ピィピィ! (ほんとです、しっかりして!)」




 けっきょく、「ちょっとぬるい」くて、アルトには「あつめ」なお湯で二人でおふろ。アルトはいろいろ知ってるんだから、しっかりしてほしい。……わたしも、ちょっとやりすぎたからごめんなさいだけど。ぬるめのお湯だから、アルトにくっついたらあったかかった。










 アルト……あ、マスター。マスターはよく、朝とか夜とかにシナイを振り回してる。マナをあつめて、シナイをつよくして振り回す。それで“ジジィ”をたおすんだって。



 わたしも、集められる火のマナを爪に集めてみた。あっつくなった。

 石くらいならまっぷたつ。でも、アルトは“ジジィ”と戦ってるとちょっとたのしそうだから、邪魔しない。








 アルトは、わたしに「やっぱりソフィも、自由にどこへでも行きたいよな」って言う。どこに行ってもいいなら、ここにいてもいいの?


 それとも、どこかへいかないといけないの?




 ………やっぱり、“ことば”はむずかしい。







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