決意に出会った
「これから、あなた方には治験を受けていただきたいと思います」
治験、という言葉に、僕は思わず身構えた。
なにせ、何が起こるかわからないということだと、僕は思ったからだ。
「倫理委員会に承認を受け、あなた方に説明をし、それから受けていただく。という段取りです。当然ながら、ここでお辞めになるという選択肢もあります。これはあなた方の問題となるので、じっくりとお考えください」
医師がそう言ったが、僕の気持ちは既に決まっていた。
それでも、形式的なつもりで、僕は説明を聞いた。
簡単に言えば、僕の体の中に溜まっている魔術粒子を使い、真美を治すということらしい。
問題は、僕よりもむしろ真美側にあるだろう。
これで体がもつかどうか、それは全くの未知数だということだ。
僕から魔術粒子を取り除くのは、いつもしている治療と同じだから、それについては問題じゃなかった。
何分間か、彼女は考えていた。
すぐに結論を出さなくてもいいと医者は言うが、この治療は早いうちに始めた方がいいという。
「やります。彼と一緒ならきっと大丈夫」
「では、すぐに準備を」
医師は駆けって部屋を飛び出す。
「いいのか」
「うん。だってあなたと一緒に治療を受けられるのだもの」
僕はそう言って微笑む彼女に、思わずドキッとしてしまった。