窓越しに出会った
それから半年後。
治療の成果があったのかなかったのかは、僕には知らされていない。
ただ、彼女が元気になっているのは、この半年で実感していた。
彼女と会えない日は、僕はとても寂しく感じる。
今までなかった気持ちだ。
そんなある日。僕が治療を受け終わったところで、急に呼ばれた。
看護師が今までにないほど焦った表情をしている。
声も震えているように感じた。
どんな人でも、何かあったということがわかるほどの動揺ぷりだ。
「彼女が、千種さんが」
「どうかしたんですか」
「魔術被曝です。第4度の症状で」
「えっ」
第4度の症状は、内臓がやられたことを意味している。
どうしてか、なぜかと考えるよりも先に、僕は看護師に聞いていた。
「彼女の部屋へと案内してもらえますか」
何かできるというわけではない。
魔術ができない僕だから、そばにいてあげられることしかない。
それでも、僕はそばにいたかった。
彼女は、病院の魔術病棟へと動かされ、その中でも一般病棟なら集中治療室にあたる集中魔術隔離室にいた。
僕は中に入ることはできず、分厚いガラス越しで彼女を見るしかできなかった。
まるでドラマでよく見る新生児室のような感じだ。
違うのは、部屋の中にいるのは、もっともっと大きい人たちばかりだということだ。
「でも、魔術被曝て……」
あれほど注意を払っていたのにも関わらず、いったい何が原因なのだろう。
それは僕に話してくれる人はいない。
「……君が、真美の友人かい」
その時、僕に50歳くらいの男性が声をかけてきた。