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付き合い始めた

手術後はとても気持ちがいい。

それでも1週間は絶対安静ということで、病室はおろか、ベッドから降りることもままならなかった。

治験ということで、他の条件を排除したかったのだろう。

この間、真美と会うことができず、何やら胸がもやもやした気分になる。

看護師に聞いても、さすがに詳しく教えてくれなかったから、余計にだ。


「今日は外でてもいいよ」

主治医にそう言われると、僕は中庭へと向かった。

そこには、真美がもういた。

ずっと待っていたというわけでは無いと思う。

点滴もせずに、ぼんやりと空を眺めているように見えた。

「こんにちは」

僕の声に驚いたのか、わずかにビクッとする。

「こんにちは」

「お隣、いいですか」

「ええ、どうぞ」

4つあるベンチの中で、初めて出会った時と同じところに座る。

「今日はいい天気だね」

「そうね」

真美が答えてくれる。

「……君と出会ってなかった時、なかった感情が僕の中にあるんだ」

「奇遇ね。私も同じなの」

それが恋だと、誰かに言われることなく知っていた。

「きっと僕らは、出会うべくして出会ったんだよ。神様がそう決めていたんだ」

「そうかも、ね」

この治療を続ける限りは、僕らは離れることができない。

僕の力は彼女の力。

彼女の力は僕の力。

そういう関係だ。

そっと手を重ねる。

真美の温かい手は、いつまでも熱を持ち続けて、そして気持ちよかった。

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