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後半(ミリアナ視点)

 目が覚めたら手錠がかけられていた。

 なぜ手錠が? 昨日のことを思い返してみた。

 確か昨日は恋人のアラスタシアの家に行き、しこたまお酒を飲んだのだ。

 それから寝てしまったようだ。そこまでは良いのだが、それと手錠が結び付かない。

 とりあえず動きづらいので、『ふんっ』と掛け声をあげて手錠を引きちぎった。

 それから部屋を見回した。あれ? ここはアラスタシアの寝室だ。何故こんなところにいるのだろうと思いつつ、ドアに向かう。

 鍵がしまっていたので悪いと思いつつ、蹴りでドアを破壊した。

 寝室の外に出てもアラスタシアはいない。

 時計を見るともう昼の二時だ。

 これじゃあ仕事に間に合わないなと思い、アラスタシアを探す。

 だが、どこを探してもいない。一人で仕事に行ってしまったのだろうか……? 起こしてくれれば良かったのに。ちょっと不貞腐れながらリビングの椅子に座る。

 このまま家に帰ってしまおうか? だけど、アラスタシアの家の鍵がない。

 鍵が無いのに外に出たら防犯上良くないので、どうしようか考える。


「仕方がない。アラスタシアが帰ってくるまで待つか」


 待つついでに夕飯でも作っておいてあげよう。

 一度トロトロに煮込んだビーフシチューを作ってみたいと思っていたのだ。

 時間はたっぷりある。早速作ろうと料理に取り掛かったのだった。

 

※※※※

 

 六時になると、アラスタシアが帰宅した。

 ビーフシチューをかき混ぜる私をみて、アラスタシアは言葉を失っている。

 

「なんで……? なんで……?」

「おぉ、アラスタシア。おかえり」

 

 ニッコリ微笑む私に、アラスタシアは震え声でつぶやいた。

 

「ミリアナ……。手錠掛けたよね?」

「粉砕した」

「部屋も鍵掛けといたよね?」

「蹴破った」

「……!」

 

 アラスタシアは頭を掻きむしったあと、ガシッと私の肩を掴んだ。

 

「キミは強過ぎる! なんで素直に監禁されてくれないの!?」

「は?」


 監禁? なんの話だ?

 キョトンと目を見開いていたら、アラスタシアがポロポロ涙をこぼしながら叫んだ。

 

「キミを独り占めしたいの! 物理で監禁を突破しないで!」

「な、なに言ってるんだ?」

「うわーーーん! 僕の彼女が強過ぎるよぉ! カッコいいけど、僕の執念が負けた気がする!」

 

 なにがなんだが分からないが、とりあえずアラスタシアをなだめる。

 

「アラスタシア、落ち着け。大好きだぞ」


 アラスタシアはたまに変になる。

 私が仲間と話していたときなど、突然発狂するのだ。

 そんなときはこれだ。

 チュッと頰にキスしてやると、アラスタシアが真っ赤になった。

 

「つ、強い……。本当に、あらゆる意味で強い……!」

「なんだよ? とにかくお腹空いただろう? ご飯食べよう」

「ぐぬぅ……」

 

 アラスタシアを椅子に座らせて、ビーフシチューをよそる。うん、美味しそうに出来たな。

 出来栄えに満足しながら、皿をテーブルに置く。

 

「いただきます」

 

 私がシチューに口を付けると、アラスタシアも渋々食べ始めた。


「美味しい?」

「美味しい……。でもさぁ、でもさぁ!」

「?」

「諦めないからね! 次こそ監禁してみせるっ」

 

 監禁って、さっきからアラスタシアはなにをムキになっているのだろう? 男の子って難解だな……と思いながら、私は苦笑する。

 

「お手柔(てやわ)らかに頼むよ」

「ムキー! カッコいい!」

 

 アラスタシアは悔しそうにうめきながら、シチューをヤケクソのようにバクバク食べたのだった。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

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