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断罪されて追放された悪役令嬢、頭を打って前世JKに戻ったら 、RPGチートが覚醒して逆ハーレム作る旅が始まりました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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7/14

空腹のままだから村まで間に合いそうになさそうです

(あぁ……お腹が空いた……)


 村はもう目の前なのに、私の腹だけが裏切り者のように鳴り響く。

 昨日の朝から何も食べていない。

 その事実は、私の腹が最も正直者だった。


 ……ぐぅぅ。


「……グ、グローリア様? 今の……」


 はっきりと音をフローレが聞いてしまった。


「い、今のは違うの! これは……そう、風よ! 風の泣き声!」


 私はそう言い聞かせようとするけれど……

 言った瞬間、風は一ミリも吹いていなかった。


(やだぁぁぁ! 悪役令嬢なのに空腹がバレるの!? しかも拾われ侍女の前で!? プライドよ……せめて働け!)


 しかしUIは絶望をさらに加速してくる。


ーーーーーーーーーー

◆状態異常:空腹(中)

HP自然回復:停止

MP自然回復:低下

集中力:ー20%

ーーーーーーーーーー


「ちょ、ちょっと!? こんな時に状態異常まで出さないでよ!!」


 出てくるポップアップにツッコんでいるけれど、フローレは目を丸くしていた。

 彼女が知っているわけがないから。


「グローリア様、本当に……お腹、空いているんですか……?」


「…………っ」


 答えられない。悪役令嬢としての威厳が消し飛ぶ。


「わ、私はグローリア・ルイーザ・ネウムよ? 空腹なんてしないの! ……たぶん! 昔は……そうだったかもしれないし!」


「グローリア様……」


 フローレはそっと自身の荷物袋を開ける。


「よかったら……これ、どうぞ」


 差し出されたのは、フローレが私と出会う途中にこっそり森で摘んでおいた木の実。


「わ、私が侍女に施されるなんて……そんな……」


「お食べください。あたし、嬉しいんです。こうしてグローリア様と、同じものを分け合えることが」


 フローレは笑う。

 その笑顔が、胸をつかむようにあたたかかった。


(くぅぅ……そう来る……!? 拒否したら悪役令嬢っていうよりただの逆張りの人じゃん……!!)


 私は観念して木の実は受け取る。


「……いただきます」


 口に入れた瞬間、UIが反応した。


ーーーーーーーーーー

◆空腹(中)→(小)へ回復

HP自然回復:低下

集中力:ー10%

精神状態:安定

同行者フローレの存在により補正

ーーーーーーーーーー


「……うん、美味しいわ!」


 思わず声が漏れ、私は口元を押さえた。

 ほんのり酸っぱくて、土と森の匂いがした。

 でも、不思議と嫌じゃなかった。


(あああああ! なにこれ! こんな可愛いイベント、どのルートで見られるの!? 私、今どのルート走ってるの!?)


 乙女ゲームのルートは、完結済みなのは確かだけど。

 フローレがくすっと笑う。


「グローリア様……その、もっと食べますか? あたし、まだ持ってますよ」


「た、食べる!」


「……あ」


 プライドは、風と共に吹き飛んだ。

 もうプライドで、ご飯なんて食えないから。


「その……ありがと、フローレ」


「はい。グローリア様のためなら、いくらでも!」


 二人で小さな休憩をしながら、ゆっくり村へ向かって歩き直す。

 空腹はまだ完全には治っていないけれど、胸だけはしっかり満たされていた。

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