婚約破棄なにそれ美味しいの?愛を詰め込んで〜
「おはようございます、ルーク!」
「おはよう、レア」
「今朝は空がとても澄んでいて、まるでルークみたいだったから、一度で起きることができたんです!なので巷で流行ってる愛妻弁当!はまだはやいですね、、えーと愛かの弁当?というものを作ってみたのです!」
「そうか」
そう頷いて、ルークはお弁当と一緒に 私の鞄まで持ってくれる
なんて優しい方なのかしら……! この方と婚約できて本当に幸せ者です。
毎日送迎してくださるし、馬車に乗る時はエスコートしてくださったり、休日には会いに来てくださり、勉強まで教えてくれるのです。
言葉にはされていないけれど、これって 絶対に愛されていますわよね!?
――だから、私も負けないように愛を伝えなくては!
今日の お弁当のテーマは「可愛くておいしい」ですわ!
ハート型サンドウィッチにルークの好きな キャラメルナッツのタルトも用意しました!
それに昨日刺繍した ガーベラ模様のハンカチ もバスケットに入れて――完璧です!
***
「レア、馬車についた。手を」
「あら、いつの間に……ありがとう、ルーク」
考え事をしていたら、もう馬車に着いていたみたいです。
せっかくの素晴らしいお天気でお花が綺麗な庭でルークとお話しがしたかったのですが、少し残念。
まあ、馬車の中で たくさんお話しできるから問題ありませんわ!
「ねえ、ルーク……っしゅん!」
「大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ。失礼いたしました」
「気にするな」
――ふわり
「ありがとうございます。ルークは寒くありませんか?」
「ああ。レアの手、冷えてる」
「ふふ、ルークの手はあたたかくてとても安心します」
思わず、 スリスリっと指先をすり寄せてしまいました――
(あっ、私何してるの!?!?)
いくらルークの指が長くて、爪がピカピカで、すべすべで、剣だこやペンダコすら 妙に魅力的でも、これは駄目でしょう!!
これでは 私、変態ではありませんか!?
「あ、あのルーク、違うのです! その……手が綺麗でかっこいいなと思ったら、なんか、こう……気がついたら……どうか無かったことに」
「……忘れてほしい?」
「ええ、もう何もかも綺麗さっぱりと!」
「いやだ」
「やだって何ですか!? もうお願いだから離して!! 恥ずかしいのよ!」
「俺は気にしない」
「も、もう……! ルークのおばかぁぁぁ!!!」
穴があったら入りたい、ルークの顔が見られないのです
手の温もりも、彼の香りも、全然落ち着かないですわ……!
***
午前の授業が終わり、お昼休み。
ルークを学食に誘おうとすると、当然のように「屋外の方がいい」と言いって手を引かれます。
(たしかに、学食は人が多くて落ち着かないものね……)
ということで、中庭のベンチ へ行くことになりました。
「今日は、カリカリベーコンに卵を挟んだサンドウィッチ、それから……ルークの好きなキャラメルナッツタルトも!」
「……」
ルークは じっとお弁当を見つめる。
「……ハートの形にしたのか?」
「え? ええ、そうですけど……?」
「ふーん」
ルークは何も言わず、ハート型のサンドウィッチを手に取る。
(ど、どういう意味の「ふーん」!?)
「……美味い」
(!!!)
「ほ、本当ですか!?」
「お前が作ったんだからな」
(それってつまり 特別な味ってことですか!?)
「よかったです!」
喜んで微笑んだ、その瞬間―― ルークの手がすっと伸びてきた。
「……えっ?」
「クリームがついてる」
「え?」
指でそっと頬をなぞられる。
「っ……!?」
(な、な、な、何をしてるんですかルークゥゥゥゥゥ!!!??)
恥ずかしさで 顔が爆発しそうです!
「なっ、拭くなら拭くって言ってください!!!」
「言ったら、お前が逃げるだろ」
「もおおお!! ルークのおばかぁぁぁ!!!」
***
「ふぁ……」
夕方、帰りの馬車。
私は今日の疲れが出て、つい欠伸をしてしまった。
「……眠いのか?」
ルークがそう言うと、私は少しだけ頷く。
「ええ……でも、今日はいっぱいルークとお話ししたいんです」
「……」
ルークは私をじっと見つめた。
そして、次の瞬間――
「寄りかかれ」
「え?」
「眠いんだろう」
「そ、それは……」
「お弁当作りで早起きしたんだろ」
「……っ!」
(うぅ、ルークはこういう時だけ察しが良い!!)
私は恥ずかしさに耐えながら、そっとルークの肩にもたれる。
「……」
(や、やだ……ルークの香りが近い……!)
ルークは何も言わず、ただ静かに私の頭を支えてくれていた。
そして――
「……明日は、どんな弁当なんだ?」
「えっ?」
「お前、毎日考えてるんだろ」
「え、ええ、まぁ……?」
「……期待してる」
「……っ!!」
(も、もう!!! ルークに翻弄されてばっかり!!)
こうして、私は 新たな弁当作戦を練りながら眠りにつくのだった。
婚約破棄など絶対しないであろう二人が、ただただいちゃついていたお話でした。
完全に息抜きです!
続き出しましたので興味あればご覧ください