50.ディアの呪い
この話でストックが無くなってしまったので、今後は不定期の更新となると思います。
なるべく早く更新しますが、日にちがあいてしまったらすみません。
あの後、私とアマンダさんだけが家に帰ってきていた。
家事に気を使わなくていい天国のような一週間はあっという間に過ぎた。
やっぱり騎士二人の栄養とかちゃんと考えなくていいの楽だったわ。
そして、一旦合流し、私たちは国境を越えた。
そこからは怒涛の日々が始まった。稲刈りの季節だ。
神話に出てくるドラゴンの稲刈りだ。さぞかしすごい勢いで刈り取っていくのだろうと思ったが、村人たちと同じように刈り取りをしているのでびっくりした。
「魔法、使わないんですか?」
「私が全て刈り取るのはたやすい。でも、そうして過ごせば、刈り取りができる者がいなくなってしまうだろう。私は人よりも長く生きるのだから、力を使い続ければ衰退を招く。」
ディアンガさんに聞くとそう言われたので、私はにんまりとした。そうなんだよ!自分が何でもするのは違うんだよな。
まぁ、最近は能力を使って解決してしまうことが多かったので、気を引き締めたい。
と、気合を入れたが、慣れない上に筋力が少ないと一蹴され、私とアマンダさんは別作業を手伝うことになった。私農業してるのに!
そいや、グレンドさんはどこかにいなくなっており、ベイダルさんもディードと山の中にいる。あの兄弟自由過ぎるだろ。
そうして更に一週間が過ぎようとした時、急にディアが倒れた。
慣れない稲刈りと季節の変わり目に倒れたのかと思ったのだが、意識がない。これヤバイんじゃ?
「周りにあった悪い魔力の流れが渦巻いてる?」
そうつぶやいてドラゴンたちの方を見ると、ベイダルさんが口を開いた。
「前にも言ったろ?この子供は、呪いみたいなのにかかってる。薄れてきてたんだけどなぁ。」
呪いなんて始めて見たから、勝手がわからない。
「大丈夫なの?」
「あとはこの子供の生命力次第だな。」
何ともそっけない。すがるようにディアンガさんを見ると、ディアンガさんは眉をひそめてディアを見ている。
っつか、今更気がついたけど、名前が似ててややこしいな。あ、伏線とかじゃないです。
「多分最後に発動するように二重の呪いがかかっている。これをかけたものは、呪いが解ける時にディアの命を刈るつもりだ。厄介なものに目をつけられたようだな。」
うぇええ?!大変じゃないか!
「そ、そんな!本当にどうにかならないんですか?」
「ベイダルも言ったが、呪いに打ち勝つには本人の生命力と気力が無ければならない。ディアは体力もあるし修練に対しても前向きに取り組んでいたから大丈夫だとは思うのだが、疲れさせたのはまずかったな。」
そこは、大丈夫だと言い切って欲しい。
というか、聖女たるもの呪いの解除とか得意そうなのに何の知識もない。私は結局、力を与えられただけで、自分自身が知識の吸収を努力してこなかったと痛感させられた。
「私がもっとちゃんと色々勉強していたら・・・・・・。」
申し訳ない気持ちでディアを見る。
「ま、大丈夫だって。心配すんな。」
そう言って、ベイダルさんが私の頭をポンとたたいた。しかも、ウィンクまでしてやがる。なんてクソ軽ドラゴンなんだこいつは!
「俺、山に行ってディードつれてくるわ。そばに居させてやりたい。ディアンガ、いいか?」
ベイダルさんがそんな殊勝なことを言うのでびっくりしたが、ディアンガさんも頷いてくれた。
そんなこんなで何もできない二日がたち、ふと気になったのでシュレインさんに話しかけてみた。
「そういえば、武闘大会っていつなの?」
「昨日ですね。」
「は?」
凄い答えが返ってきたので口をぱっくりと開けてしまった。
「ちょ、なんで言わなかったの??送ったのに!」
そのために王都に帰ってるふりをしてた気がする。まさか終わってるなんて。なぜ気にかけなかったのか!私のバカバカ!
「稲刈りがありますから。それに、ディアも・・・・・・。」
ディアはまだ意識を取り戻していない。たまにうめき声をあげるのが痛々しい。
それを窓から部屋に顔だけ入れたディードが心配そうに見ている。布団を窓側にしてあげたので、今は寄り添っている状態だ。そんな姿を見ていると、けなげで泣けてくるのだ。
我々では違う心労が積み重なりそうなので、世話を美代さんに任せて、私も肉体強化魔法を使ってディアの代わりに稲刈りに参戦している。
「いや、まぁ、そうだけど、何のために修行してたのってなっちゃうじゃん。」
「いえ、本当に大丈夫です。旅に出た時から、出なくてもいいと思ってましたから。」
「でも、間に合ったら出るって。間に合わせられたのに。」
私がしょんぼりして言うと、シュレインさんは首を振った。
「今の私にとって、大会はそんなに重要な事ではありません。稲刈りに参加している方がよほどいい。」
なんだかゴブリン騒動の時を思い出してしまう。
私の表情が曇ったままなので、シュレインさんは苦笑した。
「強がりでも何でもないんです。この旅で、自分よりも強い人は多くいるのだと改めて実感しました。
そしてここへ来て、ディアンガ様に自分の能力を人と比べている内は、真の強さは得られないと教えられたのです。
もちろん今までも自分と向き合って訓練してきたと思っています。
でも、自分で自分を分析することは難しい。自分では長所だと思っていたことが、はたから見れば短所であることだってあるんです。
今大会に出たところで、私はまだ弱い。それならば、もっと自分を高めてから挑みたいんです。
本当にここへ来れてよかった。そして、メリル様について来てよかったと思います。ありがとうございます。」
改まって深く頭を下げられると、こちらとしてはもうこれ以上何も言えない。確かに優勝ができるか怪しいだろうし、次回にドカンと行くのはありだし。
「シュレインさんの中でちゃんと折り合いがついてるならいいの。でも、頭を下げたりしないで。私はシュレインさんに迷惑しかかけてないから。」
私が困り顔でそういうと、シュレインさんはすっごく楽しそうに笑ったのだった。なんでやねん。
その夜、ディアの容体が急変した。
「うぐ・・・・・・あああああ・・・・・・。」
意識を取り戻したのだが、跳ねるように苦しみもがいてるのだ。それがおさまったかと思うと、また意識がなくなっての繰り返しだ。
「ど、どうしたら・・・・・・。」
実は、ディアが倒れた日に王都に帰って、こっそり学園と城の図書館で呪いについて調べたのだ。
だが、辛いことにこの世界では呪いを解呪する方法が無かった。というか、かけた人に解呪させるくらいしか手が無いというのだ。
呪いというものは、テンプレートがあるわけではなく、ほぼほぼ独自の術になるらしい。
精霊王たちにも聞いてみたが、「あなたはかからないから大丈夫よ」で済まされてしまった。なので、本当にお手上げなのだ。聖女、本当に無力・・・・・・。
そんなわけで何もできることが無いと思ったのだが・・・・・・。
「これは、多分呪いは終わったな。」
ディアンガさんがそう言うので、びっくりした。
「え、じゃぁ、なんで苦しんで?」
「わからぬ。でも、これなら回復魔法で抑えられるかもしれない。」
「!」
そうとなったらかけ続けることくらい朝飯前だ。だが、ディアンガさんの顔はまだ渋い。
「慣れない稲刈りをして疲れているところを二日寝込んだ。そのうえ呪いへの抵抗で体力もかなり消耗している。強い回復魔法をかけると、逆に毒になりかねない。痛みをとる程度でいい。できれば回復を助けるために少しだけ魔力で補助してやってほしい。できるか?」
「もちろん!」
ディアンガさんの問いに力強く頷いて、私はディアの痛みを軽くすること、回復を促すように補助することに尽力した。
その後一日寝ていたディアだが、ようやく目を覚ました。
「・・・・・・すまない。手をかけさせているみたいだな・・・・・・。」
一言目がそれかと泣きそうになった。口調も弱々しく、唇なんて渇いてパリパリだ。人の心配なんてしてる場合じゃないだろう。
横にいたアマンダさんが皆を呼びに行ってくれ、お水ももってきてくれた。
「水、ありがとう。なんだか水に浮いてるような気分だ。」
全身に微弱な回復魔法をかけ続けているので、変な感じなんだと思う。
空のコップを受け取ったアマンダさんが、良かったと泣きながらつぶやいた。
「良く生還した。今腹に良い物を美代が作っているから、それを食べなさい。それで一日見て、回復魔法を調整しよう。」
ディアンガさんの言葉に、私もディアも頷いた。
窓から部屋に顔を入れているディードも、キュンキュンと鳴いている。その横ではベイダルさんがディードをなでていた。ワイバーンに超優しいドラゴンである。
まぁ、そんな風にほほえましく思っていた私がバカみたいだとすぐに知るのだが・・・・・・。
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前書きにも書きましたが、今後は書けたら更新となりますので、ご容赦ください。




