第73話 効率的なレベル上げ
効率のいいレベル上げをするために大きな森に来ている。この森の奥にはたくさん経験値がもらえるモンスターがいるそうだ。
強いモンスターじゃないといいけど。
「もうそろそろだ。虹色のモンスターを見つけたら教えてくれ」
「そのモンスターって強いんですか?」
「大丈夫だよ。そんなに強くないから。ただやたらと丈夫なうえにすぐ逃げるんだ」
強くないのならいいか。ていうか、かなりお得なモンスターだよね?
私が森の中を注意深く見ていると虹色のものが見えた。
「勇者様! あそこ」
「いたぞ! レインボースライムだ」
私たちは早速攻撃を仕掛ける。
勇者様の攻撃。レインボースライムに1のダメージを与えた。レインボースライムの攻撃。サラに1のダメージを与えた。
何よ、この地味な戦闘は?
「もう少しだ。みんな頑張れ!」
レインボースライムは逃げて行った。
なるほど、こういうことか。負けそうになると逃げるんだ。
「あ、またいたよ」
今度は虹色のモグラだ。これもきっと弱いよね?
勇者様の攻撃。レインボーモグランに1のダメージを与えた。レインボーモグランの攻撃。麗華に3500のダメージを与えた。麗華は倒れた。
「大丈夫ですか?」
「私どうなったの?」
「死んじゃったから復活の魔法をかけました。たまたま成功してよかったですね?」
クレアが笑顔でとんでもないことを言っている。
確か4時間以内に復活できなかったら二度と生き返らないんだよね?
「それより、あのモグラ強いじゃないですか?」
「本当は弱いんだけどね。100万分の1の確率で強い攻撃を仕掛けてくるんだ」
私って運悪すぎじゃない?
その後もいろんな虹色のモンスターと戦っては逃げられた。
「これじゃきりがないよ」
アイラが疲れた声でそういうと切り株に座り込んだ。
そう言えばもう2時間は戦い続けている。因みに0勝0敗57引き分けだ。
私も疲れたな。
「挟み撃ちにしてはどうでしょうか?」
クレアの提案にみんなが注目する。
「私とサラさんが隠れていて、戦闘が始まったらモンスターの後ろに出て行くんです」
「なるほど、それはいけるかも」
勇者様が核心を持った声で言った。これでレベル上げ成功だね?
レインボータヌキチが現れた。サラとクレアがモンスターの背後に回った。レインボータヌキチは横から逃げて行った。
「ダメじゃん」
サラがため息をつきながら言う。
「では、こうしましょう。全員で5角形に囲むのです。これなら逃げられませんから」
レインボーシッポが現れた。私たちは奇麗な5角形を作ってレインボーシッポを取り囲んだ。
レインボーシッポの攻撃。クレアに1のダメージ。サラの攻撃。レインボーシッポに1のダメージ。
「これなら行けそうだ。あと少しだ。みんな頑張るんだ!」
レインボーシッポは私の方に突進してきた。そのまま私の足元を潜り抜けて走り去った。シッポって走れるんだ? そんなことより。
「どうして一番運動神経が悪い人を見抜けるのよ!」
「きっと野生の勘だね」
アイラがぼそりと言った。
結局、何をしたって逃げられるみたい。これだけ戦ってもレベルは全く上がっていないよ。
「こうなったら最後の手段です」
クレアが真剣な目で訴えている。
「網か何かで罠を作って、かかったモンスターを全員でボコりましょう」
ここまでくると勇者一行のすることじゃないよね?
疲れ切っているためか、全員が必死で罠を作り始めた。みんな早くこの状況をなんとかしたいみたい。
そして完成。網で作られた罠ができた。これを木に吊るしてその中に餌を置いた。モンスターが餌を取りに入ると重みで罠にかかる仕組みだ。
ガサ!
「レインボーモンキーが罠にかかったぞ」
勇者様の一声で全員、罠のところに駆け寄る。訓練されたみたいに早い集合だ。
そしてみんなでレインボーモンキーを袋叩きにした。
「よし、倒したぞ!」
「これでレベルが上がるわね」
アイラが手を上にあげて喜んでいる。
シーン。
あれ?
「レベル上がった?」
アイラがみんなに聞いた。そう言えば音が鳴らないような?
「上がった感じがしませんね」
クレアが自分の体を見て答える。
「レベルは上がってないね」
突然ポチが例の本を出して言った。
「どうしてー?」
「調べてみるよ」
ポチが本の辞書機能で調べている。何かの手違いかな?
「レベルが上がらない理由がわかったよ」
「何?」
みんながポチのところに集まってくる。
「卑怯な手段を使ってモンスターを倒したときは経験値を得られないんだ」
世の中そんなもんだよね?
今日一日が無駄に終わってしまった私たちは、肩を落としてとぼとぼと森を去るのだった。




