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第60話 恐怖の教会

 お金も貯まったし、後は教会に行って指輪の呪いを解いて貰うだけね。あ! ちょうど進行方向に教会があった!

「勇者様。あの前方に見えるのって教会ですよね」

「そうだな。行って見よう」

と、ここまではスムーズな展開なのだが。


「すみませーん」

返事がない。

「お留守ですかー?」

しーん。

「建物も古いし、もしかしたら廃墟になった教会かも知れないな」

「えー。せっかく見つけたのに」

「仕方ない。次を探そう」


 私達が教会から出ようとした時、奥の方からガタッという音がした。

「誰かいるんじゃねえか?」

サラが果敢にも音のする方へ向かう。

「行かない方がいいよ」

「大丈夫だって」


 サラが奥の部屋に入って暫くすると、

「キャー」

と言う悲鳴が聞こえてきた。

「サラ、どうした!?」

勇者様が格好良く駆けつける。


 勇者様が奥の部屋に入って暫くすると、

「ギャー」

と言う悲鳴が聞こえてきた。

「どうしたのですか?」

クレアが奥の部屋へと向かった。


 クレアが奥の部屋に入って暫くすると、

「キャー」

と言う悲鳴が聞こえてきた。


 これって私も行くべきだよね。でもこの展開は死体が転がっているパターンである可能性が高い気も。できたら行きたくない。でも・・・・。


 私はそっとアイラを見た。

「行く?」

アイラも同じことを考えていたらしくできたら行きたくないオーラが漂っている。

「何かあったらまずいし、行こう・・・・か?」

「そうですよね。行きましょうか?」

「じゃあ、麗華ちゃんが先に行ってよ」

「私は弱いし、ここはレベルの高いアイラさんが先に」

「あらやだ。麗華ちゃんたらー。遠慮しなくていいのよ」

「アイラさんこそー。私のことは気にしなくていいんですよ」


 暫く無駄な譲り合いが続く。

「僕が見てくるよ」

初めてポチを凄いと思った瞬間であった。


 シーン。

「ポチ? どうしたの?」

返事がない。

「どうして誰も帰ってこないのかしら?」

「まさか奥の部屋で倒れているとか?」

「そんな縁起でもない」

「でも、おかしすぎるわよ」

「それはそうなんですけど」

「やっぱり行くしかないわね」

「そうですよね」


 暫くの沈黙。アイラは何も言わずそっと手を出し『どうぞ』のポーズを取る。私も負けずに手を出した。

「きりがないわ。ここは二人並んでいきましょう」

「そうですね。それがいいですよね。でも、もし幽霊が出ても一人で逃げないでくださいね」

「今は昼だから幽霊は出ないわよ」

「そっかー」

「でも、ゾンビなら出るかも?」

「ええー!」

私の足が止まった。


「ちょっとー! 急に止まるの禁止! 私が先頭になるじゃない!」

「だってー」

「とにかく裏切りっこなしよ。わかった?」

「わかった」


 私達は隣の部屋の前に行くとそっとドアを開けた。

「キャー!」

部屋の真ん中には一人の老人が仰向けに寝ている。

「おじいさん? 死んでないよね?」

全く動かない。

「おじいさん? ねえ、おじいさん?」

「この青白い顔。これはただの屍のようね」

「ええーーー!!!」


「アイラさん、も、戻りましょうか?」

「そ、そうね」

私達は今来たドアを開けようとすると、

「あれ? ドアが開かないよ?」

「嘘? ちょっと貸しなさいよ。え? どうなってるの? 全然開かない!」


 ガタン!

「キャー!!!」

ドンドンドンドン! 私達はドアを思いっきり叩いたがドアはビクともしない。

「え? 麗華ちゃん。後ろ後ろ」

「何ですか? 早くここから出ないと」

「いいから後ろ見てよ!」

私は恐る恐る後ろを向くと、さっき寝ていた死体が宙に浮いている。

「キャーキャーキャー!!!」


「はははは。愉快愉快」

「え? 何? 何?」

宙に浮いた死体が笑っている。

「どうじゃ、驚いたかね?」

「キャー! 死体が喋ったー!」

「わしは死んでなぞおらん」

「え?」


「ようこそ、お化け屋敷教会へ」

「お化け屋敷教会?」

「そうじゃ、人間は笑っていると幸せになるんじゃ。だから、わしの魔法で来客を驚かせて笑って貰うことにしたんじゃ」

「思いっきり笑えないんですけど!」


 よく見るとカーテンの後ろやソファーの陰にみんながいるのがわかった。

「いるのなら、どうして声をかけてくれないんですか?」

「いや~どうなるかなって思って」

サラがこれでもかという笑顔で私を見ている。もう!


「なぜ戻ってこなかったのよ」

アイラが怒った声で言う。

「キャーと言ってしまった手前戻りづらくてな」

勇者様が頭を掻きながら照れている。


 本物のお化け屋敷より怖かったけど、これを言ったらおじいさんを喜ばせることになるので絶対に言うまいと誓う私であった。

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