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第58話 金の亡者

 私達の前に神社の宮司さんが着るような服装の人が通り過ぎていった。

「今の人って変わった服装してたわね」

「もしかして」

私はその人物を捕まえようと追いかけたけど。


「あれ? この人捕まえようとしてもすり抜けるよ」

「これは幽霊モンスターという種類のものだ」

「すると人間じゃないの? キャー!」

私は慌ててこの人から離れた。


「大丈夫だ。これは幽霊じゃなくモンスターだからね」

勇者様がやや笑いながら私に言った。

 モンスターは細長い紙を取り出すとゆっくりとした口調で喋り始めた。

「天の原 ふりさけ見れば 春日なる・・・・」

「あー! この和歌聞いたことあります」

「本当か?」

「はい、確か百人一首で阿倍仲麻呂という人の歌です」


「じゃあ、このモンスターがゴールデンヒャクニンイッシュなのか?」

「きっとそうよ! こいつを倒すと大金が貰えるんだわ」

やや欲に目がくらんだっぽい顔つきのアイラが言った。


「三笠の山に・・・・。何だお前達は?」

「そうか、こいつを倒せば大金が手に入るのか」

「お金お金」

「麗華さんのためですから倒させていただきます」

私達はじりじりとゴールデンヒャクニンイッシュに詰め寄っていく。

「何じゃお主らはまろに何のようじゃ?」

ボカ! ゴールデンヒャクニンイッシュは滅茶苦茶弱かった。もしかしたら欲に目がくらんだみんなのパワーが凄かったのかも?


「凄いわ! 10000マネーも手に入ったわ!」

「ゴールデンヒャクニンイッシュ! 噂以上に美味しいモンスターだったな」

勇者様まで興奮している。


「よし、次を探すぞ!」

アイラの声が弾む。

「花の色は うつりにけりな いたづらに・・・・」

「いたわ! 今度は女性ね」

「この服そうって十二単ですよね? 私初めて見ました」

ボカ! 私の感動を誰も聞いていない。


「凄い! 今度は30000マネーだ!」

「このペースで稼いでいったら、お洋服に高級バッグに指輪、何でも買えるわ!」

「指輪の話は止めてください」

「アイラさんわかってますか? このお金は麗華ちゃんの除霊代に使うんですからね」

「わ、わかってるわよ・・・・」


「またいたぞ! 今度は髙そうな服を着ているぞ!」

「秋の田の かりほ・・・・」

ボカ! せめて和歌くらい最後まで詠ませてあげてもいいような・・・・。

「こ、これは! 800000マネーも手に入ったぞ!」

「凄い、凄すぎるわ!」

「アイラさん、私のこと完全に忘れている目ですよね?」


 私達はゴールデンヒャクニンイッシュを倒しまくり早くも一千五百万マネーを稼いだ。

「よし、この調子だ! 次に行くぞ!」

何か勇者様までお金の虜になってきているような?


「嘆けとて 月やは物を 思はする・・・・」

「今度はお坊さんだ!」

ボカ!


「あれ? 今まで稼いだお金がなくなってる!」

「坊主めくりか!」

「またやり直しですね」

「そんなのどうでもいいわよ! さあ稼ぎまくるわよ!」

アイラさんが完全に金の亡者になってしまった。


「アイラさん、お坊さんを倒しちゃダメ!」

ボカ!

「また一からやり直しです!」

「お坊さんが何なのよ! お金よお金!」

私達は正気を失ったアイラを押さえつけてコツコツ稼ぐのであった。

「ちょっと! 離しなさいよ!」

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