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第29話 貴重なモンスター

 貧乏神MAXの攻撃。

「キャー!」

麗華は後ろを向いてしゃがんだ。貧乏神MAXは大きな壺を叩いてしまい痛さのあまりのたうち回っている。


 この壺のおかげで随分助かっているような。

「凄いね。麗華ちゃん。最近防御が完璧だね」

アイラが褒めてくれた。

「完璧だなんて、偶然です」

どう返事をしていいのかわからないので一応謙遜しておいた。それにしてもこの壺って硬いよね。強烈なモンスターに叩かれても壊れないんだから。


「今日はいい気分ですね」

クレアがいつもの笑顔で話しかけてくれる。クレアのおかげで重い壺も軽くなったし、今の私って結構最高かも。


「さっきの村で引き受けたクエストはこの先に住む貴重なモンスター、バッドバットを倒して目玉を持ち帰ることだ」

「バッドバット?」

「因みに英語で書くとbadbatになる」

「悪いコウモリという意味ですね」

『さすがクレアさん。知識が豊富!』と言おうと思ったが、よく考えたら中学校で習う単語だったので言うのを止めた。


「何それ?」

サラは頭を使うのが苦手のようだ。でも怒らせるといけないので私は何も言わない。

「サラはバカだな。そんなの義務教育で習う単語だよ」

「何だと! このくそ猫!」

また言ってはいけないことを・・・・。サラさんが長い棒を振り回してポチをおいかけて行く。ポチへの日頃の恨みを考えるとこれはこれでいいか。サラの棒がクリーンヒット。ポチが大空高く飛んでいく。やっぱし。


 その時、

「いたぞ!」

と勇者様が声を上げた。その声に反応してみんなが身構えるが、これが何ともかっこいい。私も真似て身構えてみるが何か変なんだよね。


「出たなバットバッド。成敗してやるから覚悟しな!」

「バッドバットだよ。サラは本当に無知だね」

「何復活してるんだよ! このくそ猫!」

またしてもポチが大空に飛んでいく。 


 バッドバットの攻撃。麗華は後ろを向いてしゃがんだ。バッドバットは壺を叩いてもがき苦しんでいる。


『やったー。作戦成功!』

バッドバットはまやかしの超音波を出した。麗華は喜びの舞を舞い始めた。

「あれ? 私何してるの? 体が勝手に動くよ」

「麗華ちゃん、大丈夫か? 君はモンスターの超音波で操られているんだ」

「えー!」


バッドバットはまやかしの超音波を出した。麗華は盆踊りを踊り始めた。

「麗華ちゃん。うまいうまい」

「サラさん、からかわないでください」


バッドバットはまやかしの超音波を出した。麗華は腹踊りを踊り始めた。

「プー!」

「誰? 吹き出したの? お願い見ないで!」

「とてもお上手ですね」

「クレアさん。感心してないで助けてよ」


バッドバットはまやかしの超音波を出した。麗華はセクシーなダンスを踊り始めた。

「いやー!」

「へー、麗華もこんな踊りを踊れるんだ」

「アイラさん、何言ってるんですか?」

「とてもセクシーですよ」

「クレアさん、何とかしてください。恥ずかしいです」

「そうだな。何とかしないと麗華ちゃんが可哀想だな。服を脱ぎ始めてるし」


「ちょっと待ってよ。これはとても貴重なシーンだ。もう少し様子を見た方がいいよ」

「ポチ! 突然復帰して何言い出すのよ!」

私が投げたポチはバッドバットと共に大空へ消えていった。


「何とかなりました」

私が笑顔で言うと勇者様は、

「目玉取れなかったね」

と小さな声で言うのだった。

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