ゼロイチ11
あれからどれくらいたっただろう?
飽きたようにソート・ニアは腕時計を見た。
ソート・ニア「まだ、40分しかたってないのね…」
その表情には疲れと、眠気が表れていた。
ソート・ニア「ファ~アァ」
大きな欠伸をした後、大きく腕を上げて伸びをした。
ソート・ニア(あの野生ちゃんがドアを押した時、ほんの僅かにドアが動いたから直ぐに脱出すると思ったのに。その後身体強化姉ちゃんがあの場を仕切るようになってから、全く進捗がないわぁ。どうしましょう?)
フタコ「わ、分からない!どうしたらいいの?」
ドアを押したり、撫でたりし終わったフタコはドアの前で座り込んでしまった。
ヒノミ「よし!選手交代!次はあたしの番よぅ!任せんしゃい!」
その姿を見ていたヒノミは勢いよく飛び上がった。
勢いそのまま、フタコの隣に立つと片手でフタコの髪の毛がグシャグシャになるくらい速く頭を撫でた。
フタコ「わぁぁぁぁ〜」
その手に従って声を出した。
その後、二人は位置を交代した。
ヒノミは扉の前で自信満々で仁王立ちした。
ヒノミ「ヨシ!」
両手を勢いよく扉に押し当て、一気に押し始めた。
ヒノミ「フン!ぬぬぬぬぬ!」
それでも扉はピクリともしなかった。
ソート・ニア(あれ?さっきは普通の人間じゃ分からないぐらいだったけど僅かに動いた。だけど、今は全然動かないじゃん!まぐれだったのかな?)
ヒノミはこれが駄目ならと言わんばかりにタックルするような体勢でドアを
押し始めた。
ヒノミ「う!!うぉぉぉぉぉ!!!」
大きな声を上げながら全力で押したから、息が切れて休み始めた。
ヒノミ(はぁ…はぁ…なるほどね…一筋縄じゃいかないのね)
押して駄目なら。
何度でも押すべし!
ヤケになったのかと思うぐらいに、ヒノミは何度も何度も扉にタックルした。
ドン!
ドン!
ドン!
…
…
…
ヒノミの肩が痛みを感じ始めた時だった。
ギィ…
ほんの僅かだが、ドアが動く音がしたのだ。
ヒノミ、フタコ「え?…」
二人は息ピッタリに反応した。
フタコ「ど、どうやったの?」
ヒノミ「分からない。ただ何回も妖力をこめてタックルしただけ。もう…肩痛い…」
フタコがヒノミの袖を捲くって見てみると、肩は少し赤くなっていた。
フタコ「赤くなってるじゃん。全力でやり過ぎだよ。休んでて。」
ヒノミ「後半は少しずつ妖力減らしたり、ちゃんとペース配分したよ。回数が多かっただけ。」
ソート・ニア「妖力の加減。丁度良い妖力を扉に流せば、このドアは開く。ただそのストライクゾーンが非常にシビア。それがこのドアの仕組み。さて、ここからが見どころですね」