挨拶回り
西側の辺境の移住計画
その為には今までお世話になった方々と領地の方々に挨拶と手紙で知らせた
事業の方々に責任者が父か婿養子のジョセフに変わったと伝えに言った
本来ならば二人を連れて挨拶に行ければ良いのだが、元々仕事が出来ない父が挨拶の大切さを知らない
社交界だけが重要とでも思っている節がある故にマリアも淑女の常識も有ったもんじゃない
そんな二人を見ているからなのかジョセフも大概な人に成り下がった
婚約仕立ての時はちょっと頼りない(おつむ)が今よりは真剣に出来ないなりに勉強していたのに・・・
後はよく買い物などしていた商店に移住する事を伝え回った
西側の状況を知っている人達に心配もされたが、母が亡くなる前の最後の仕事だったから引き継ぎたいのだと伝えると
「お嬢!それならばうちの若い衆を貸し出すぞ!」
「ありがとうございます。ですがまだ彼方の様子が母のメモ書きだけでは解りかねます。故にある程度の基盤が出来そうな目処が付いたらお願いしにあがります。」
「お嬢、奥様達は悪路で亡くなったんだろ?うちは土木建築を生業にしてるんだ。きっと役に立つから」
「ありがとう。わかったわ、お願いするわね。半月後にはここを発ちますので」
「おう!威勢の良い若い衆をお嬢に付ける!陸路の護衛にだってなるだろうからさ!まぁ、伯爵護衛団にはかなわないかぁ」
「そんな事ありません。とっても心強いです。ありがとうございます、棟梁」
邸に戻ればマリア達が何時、本邸を出ていくのかうるさく言ってくる
準備が出来次第と何度も言っているのだが、馬鹿なのか言葉が理解できないらしい
「準備、準備って言っているけど毎日外出して何時準備しているのよ!
本当はお金だけせしめて出ていかない積もりでしょ!私は騙されないわよ!」
「マリア、出ていくにしても挨拶回りとかあるでしょ?」
「さっさと荷物まとめて出ていけば良いだけじゃない!」
「悪い事したらそうでしょうけどね、私は違うから」
「な、なんですって!マリアが悪いとでも言うの?」
目をウルウルさせて本邸のエントランスから別邸まで走って行った
その後ろ姿をゲインと二人で冷めた眼で見送った
「あれは何?」
「シルビアお嬢様の妹殿ですが?」
「あの子が妹なのねぇ・・・何で?」
「何でと申されましても・・・」
「何であんなに頭が弱いのかしら?不貞を働いたのに悪くないって・・・」
「頭がお花畑なのでしょう」
なら仕方ないのねって事で話を終わりに仕様としたら
面倒な元婚約者と共に舞い戻って来た
相手にする時間も惜しいので、早く本邸に住みたいならば邪魔をするな!と解りやすく伝えても馬鹿なのか全く通じない
しかもそんな上から目線の言葉でどれだけマリアが傷つくか解らないのか!と言われる
何でこんな男と婚約していたのだろう・・・人生の汚点ってきっとこいつとの婚約だろう
持っていく荷物の整理も大変だ
必要な物不必要な物に仕分けする
「ゲイン、不必要な物はそのまま本邸に置いて置きます。必要な物は私の部屋に運ぶのでマリー達とで荷造りしといて。」
「かしこまりました。しかしながら書物等は…」
「書物は彼方の基盤が整い、住むところの確保が出来てから取りに来るので、手頃な部屋を契約してきてくれる?」
「それでは契約次第、書物は全てそちらに運びますので」
「うん、お願いね。必要な書物はこっちに置いとくから、それ以外をお願いね」