表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ええと、肝心の僧侶が……  作者: 新崎はるか
8/27

どこかで見たような

狂人が迫る。おれは短剣を鞘から引き抜いた。

「こ、これは……⁉︎」


短い刀身、ところどころ刃こぼれしていて、色合いもくすんでいる。全然使えなさそうだ。

「これでどうしろと」

困惑するおれに、リーダーが手を伸ばした。

「その剣をよこすのじゃ、ほれ」


おれは包丁を渡す要領で、リーダーにそれを手渡した。

「手を離すのじゃ、危ないぞ」

「ふん、そんなナマクラの何が」

言いかけて、おれはギョッとした。短剣が、激しい光を放っていた。

「これが兄上の剣の秘密じゃ」

短剣、いやもはやそうは呼べない、光の剣。小柄な少女には少し長すぎるそれは、蛍光灯のように眩しく発光していた。

「……魔法剣……」

魔法使いが呟く。何か知っているのか?

「……魔力によって形を変える、レアな剣……」

「攻撃魔法の使えない、わしのような者にはうってつけなのじゃ」

確かにおれも攻撃魔法は使えないな。っていうか、魔法自体も。MPゼロだし。

「おれにコレを渡すって、あてこすりかよ」

「兄上は色々アレじゃが、そんな嫌味なことはせぬのじゃ」

ということは、おれにもいつか使いこなせるのかな?


リーダーの姿、どこかで見たことがあるような、映画とかで……そうだ、光の剣にゆるくローブを羽織った姿、これはまるで……

「リーダー、ジェ○イの騎士っぽい」

「???じぇ?…….まあ、騎士というのは悪くない」

ドヤ顔でヒュンヒュンと小枝のように振り回す。案外似た者兄妹なのか。

「さしずめ、女騎士といったところかのう」

いや、その呼び方はちょっと。

「……クッ、殺せ……」

黙れ魔法使い。どこで覚えたんだ?


「わしらがやつを転げさせる!勇者は聖水をぶっかけるのじゃ!」

なんか、おれだけ攻撃方法がダサいな。

「来るぞ、皆構えるのじゃ!」

走って近づいて来る狂人。前髪と眉毛が少しチリチリしていた。

「……ゴメン……フレイム!……」

顔面に直撃……しない!走る勢いを少し落として、大きく迂回した。おそらくはおれ達の側面を狙っている!

「避けた!」

「ぬう、学習したか!ならばこうじゃ!」

リーダーはスッと向きを変えると、両手でゴルフのスイングのように振り抜いた。

「てい!」

両足の向こうずねのあたりに直撃する。

「ウオアアアアアア」

呻き声を上げて狂人が倒れ込んだ。石畳にヘッドスライディング!

「うっわ、痛そう」

「今じゃ、勇者よ!」

「よ、よし!」


行くぜ、聖水ぶっかけ攻撃!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ